株式会社アドバンテスト様(実務者編)
スクラムチームの個性を活かしながらSAFe®を導入することで
チームが一体となった組織変革を実現
導入のポイント
- SAFe®導入から約1年半でチームの成功へ
- T D Cソフトの伴走により推進者は役割に集中できる
- マネージャーにとって組織の成長は最大のメリット
インタビュイー

SoCテスト事業本部
T2000プロダクトユニット
第2ソフトウェア部部長 石川慎一 氏

SAFe®
シニアエキスパートコンサルタント
土橋弘敏
日付を決めて限られたリソースの中でやりながら考える
TDCソフトがご支援させていただき1年半が経ちました。2022年4月にLACEを立ち上げ、10月に1本目のARTをローンチし、2023年4月には2本目のARTもローンチして、それぞれ順調に進行しています。推進役として振り返ってみて、いかがでしょうか?(土橋氏)
最初は、どのように進めていくか、本当にPlプランニングを開催できるか、不安のほうが大きかったです。実際に進めてみるとわからないことが多く、TDCソフトの伴走によってギャップを埋めて頂きました。(石川氏)
今は、SAFe®トレーニング受講中に理解できなかった「最初にPlプランニングの日付を決める」という行為の意味がよくわかります。すべての準備が整ってから日付を決めていたのでは、Plプランニングを開催できなかったと思います。日付を決めて、限られたリソースの中でできることをする、そしてやりながら考える。アジャイルの考え方をリアルに体験しました。(石川氏)
そうですね。まず、目標を決めて走り出し、やりながら考えるというのは、よかったですね。まさに、アジャイルです。進めていく中で意識したことや工夫はありますか?(土橋氏)
SAFe®を形骸化させない組織全体の雰囲気づくり
アドバンテストでは、約6年前からチーム開発にスクラムを導入していたので、これが下地になりました。各チームが独自のやり方を持っており、最初は、これをあまり崩さずに、まずはSAFe®を体感してもらうことを意識しました。各チームの特徴や個々のやり方も活かしつつ、ARTとしての改善のポイントを見つけていくようにしました。(石川氏)
また、SAFe®は組織全体として取り組んでいくことが必要で、そういう雰囲気づくりが大切でした。フレームワークを入れることを目的とせず、それぞれの立場で感じている課題意識を聴き、SAFe®のプラクティスで解決の方向付けをすることで、形骸化させないことを目指しました。(石川氏)


外部パートナーによる丁寧な伴走で様々な視座を得る
SAFe®導入に向けて、今回、T D Cソフトを選んでいただきましたが、外部パートナーを採用しようと考えた理由は何でしょうか?(土橋氏)
SAFe®を導入するに当たって、RTEは多くのことをこなす必要があります。もちろん、LACEもいますし、ビジネス責任者やプロダク卜責任者もいますが、ART全体を把握する役割のRTEの負担は大きいです。実際に、T D Cソフトの伴走によって、ポイントポイントで、やるべきことを明確にでき、RTEとしての各タスクに集中して取り組むことができました。(石川氏)
それに、LACEや現場のアジャイルチームにもきめ細かくサポートいただくなど、伴走中に様々な視座を与えてくれました。Plプランニングの支援、ART拡大時の支援、次のステップへの布石など、刻々と変化するARTの状況を俯緻した視点で分析し、次にやるべきことの選択肢を提案いただけたことはよかったです。(石川氏)
ありがとうございます。SAFe®を導入する企業は、各社の状況や様々な狙いがあって推進しますので、我々コンサルタントは、その辺りをよく理解した上でご支援するように心がけています。まさに、SAFe®が大事にするカスタマーセントリシティ(顧客中心の考え方)です。(土橋氏)
アドバンテスト様の場合、インプリメンテーションロードマップに従って導入を進めつつも、フレームワークが定義する意味を自社にとっての意味に捉え直すなど、常に自社の現状と合わせながら進めていらっしゃいました。T D Cソフトとしては、その状況を理解し、どのような伴走が最適かを常に考え、ご支援させていただきました。(土橋氏)
チーム改善のその先に、会社としてのビジネスアジリティ貢献
今、アドバンテストでは、2つ目のARTもローンチして、規模も100名を超えています。SAFe®のコンサルタント資格を持つRTEも2名になり、これからもっと増やしていく計画もあります。ですが、SAFe®はあくまでも手段と考えています。(石川氏)
変革の旅は、まだまだ続きますね。今後の展望について教えていただけますか?(土橋氏)
まず、ソフトウェア開発チームが生み出す価値を高めていくこと、そして、より品質の高いソフトウェアを開発できるチームになることです。その上で、会社としてのビジネスアジリティに貢献できるよう必要な改善に取り組んでいきたいと思います。(石川氏)
改善活動では、SAFe®のコアバリューのひとつである『透明性』、『ビジョンを明確にすること』、『学びを継続すること』により、ARTの役割ごとにそれぞれの目線で高い課題意識を持つことができます。課題意識から問題を見つけ、それを改善していく過程で、組織としても成長していきたいです。(石川氏)

これからSAFe®に取り組む方々に向けて
最後に、これからSAFe®を導入する、あるいは、すでに取り組んでいる方々に向けて、メッセージをお願いします。(土橋氏)
SAFe®のプラクティスに取り組むことで、従来の組織構造で硬直していたところの風通しが良くなります。SAFe®だけが正解ではないと思いますが、様々なマネジメント手法がある中で、価値の軸となる基本的な部分でSAFe®を共通言語にできることはメリットが大きいと思います。世界中のマネージャーやリーダーの知識・経験・知恵が詰まっているSAFe®を活用することで、本来、私たちが取り組むべき、製品の価値を高めることに集中できます。マネージャーにとって、それは幸せなことだと思います。ぜひ、強力なパートナーと組んで一歩踏み出してもらえたらと思います。(石川氏)
SAFe®用語
- Plプランニング
- ARTの全員が参加する計画会議。
- LACE
- リーンアジャイルセンターオブエクセレンスの略。変革推進チーム。
- ART
- アジャイルリリーストレインの略。複数のアジャイルチームで構成された50~125人のチーム。
- RTE
- リリーストレインエンジニアの略。ART全体の推進役。
- インプリメンテーションロードマップ
- SAFe®実装のロードマップ。
- スクラムマスター
- 又はチームコーチ。アジャイルチームのサーバントリーダー兼コーチ。
- アジャイルコーチ
- アジャイルに関する豊富な知識と経験を活用してチームを支援する人。
導入企業情報
株式会社アドバンテスト(ADVANTEST CORPORATION)
アドバンテストは、世界最高水準の製品・ソリューション開発力とグローバルなチームワークによる技術サポートカの強みで、常に時代の最先端をリードし続けています。
- 設立
- 1954年(昭和29年) 12月
- 所在地
- 東京都千代田区丸の内1丁目6番2 新丸の内センタービルディング
- ホームページ
- https://www.advantest.com/