東京ガス株式会社様
ICTを活用した働き方改革・業務プロセス改革を推進
ワークフローシステム「Styleflow」の導入により、
申請・承認・決裁業務の「どこでもワーク」を実現
導入のポイント
- 働き方改革の一環として、上申書電子決裁化を決断
- お客様の期待値に合わせた導入支援をご提供(教育、ロボット導入、サポート等)
- 創立62年におけるシステム構築ノウハウ(独立系システムインテグレーター)
インタビュイー

沢田和昌 氏
導入の背景と現状の課題
エネルギーの自由化に伴い、ビジネスモデル変革を推進
東京都ならびにその隣接区域を含めた1都6県に、主要なライフラインである都市ガスを提供する東京ガス。同社では2016年4月の電力全面自由化、2017年4月の都市ガス全面自由化を踏まえ、総合エネルギー事業を積極的に推進しています。そこでのポイントを、IT総括部 長の沢田 和昌氏は次のように説明します。
「エネルギー事業では、競合他社との差別化が非常に困難です。それだけに今後は、サービスやグローバル化も強化していく必要があります。そして、それを実現する上で最も大切な経営資源こそ、人財です。その意味で、当社のビジネスモデル変革は、働き方改革と一体であると言っても過言ではありません。」
ICTで推進する働き方改革「ワクワクワーク」プロジェクト
その「働き方改革」の一環として、同社が2016年度から取り組んでいるのが、ICTを活用した「ワクワクワーク」というプロジェクトです。ここには「価値が湧く(提供価値の増大)」、「変化に湧く(事業環境の変化への対応)」、「楽しく働く(新たなマインド・風土の醸成)」という意味が込められています。
同プロジェクトは在宅勤務やモバイルワークなどで働く場所の制限をなくす「どこでもワーク」、コミュニケーション改革、執務室改革、ナレッジ改革を行う「わいわいワーク」、AIやRPA(ロボットによる業務自動化)による「おまかせワーク」という3つの要素から構成されています。中でも社員の生産性向上に直接的に寄与する「どこでもワーク」においては、本格的な実施段階を迎えています。
その1つ、「上申書電子決裁化」のツールとして採用されたのが、これまで紙ベースで行っていた申請・承認・決裁業務を、クラウドベースでどこからでも可能とするワークフローシステム「Styleflow」です。決裁のスピードUPと生産 性の向上を目的に2017年3月からトライアル運用を開始。確かな検証のもと、2018年4月16日より全社で運用開始されています。

ワークフローの機能を「働き方改革」でも活用
Styleflowが可能にした「どこでもワーク」の推進
ワークフローシステムは、これまで①業務の可視化、②意思決定のスピードアップ、③コンプライアンスの強化、④紛失リスクの軽減、⑤ペーパーレス化に伴うコスト低減への対応策として位置付けられていました。それに加えて同社では、「働き方改革」のための主要ツールとして位置付けています。
「働き方改革の最大目標は“生産性の向上”です。多様な働き方を追求することで、時間の無理・無駄を排除すれば、個々が本来の業務に集中することができると考えるからです。例えば、営業担当であれば、お客様のために時間を割くというのが、本来の姿。ところが実際に測定してみると、そこに費やす時間が意外に少ないことが分かりました。その一因となっていたのが申請に係る業務でした。これまでは印鑑をもらうために会社に戻ったり、上司が不在のために決裁が滞ることがあったからです。これでは“どこでもワーク”の妨げになると考え、Styleflowの導入を決断しました。」(沢田部長)
申請者自身が承認ルートを容易に設計・作成
選定に当たっては、4製品を比較・検討。その結果、「Styleflow」を選定した理由としては、申請・承認ともにモバイルに対応していること、申請者自身が承認ルートを容易に設計・作成できること、SaaSによるサービスであるため迅速に導入でき、かつTCOの削減につながること、ベンダーの信頼性・提案力にアドバンテージがあったことがあげられます。
また、実際の運用では通常の消耗品以外の購買、契約の申請など、上申を必要とする業務の中でも、いわゆる非定型な申請・承認業務の電子化を想定しています。
「非定型の申請・承認業務は、ケース・バイ・ケースとなるため作業負荷が高く、システム化は困難です。それだけに、個々が案件ごとに承認ルートを作れる仕組みを、サービスとして享受できることは非常に重要な意味を持っています。」(沢田部長)
トライアル運用で掴んだ効果への確かな手応え
導入効果に関しては、申請業務のルールを司る総務部門、システム導入のキーセクションであるIT部門、申請数が多い営業部門を中心に実施したトライアル運用において十分な手応えを感じています。アンケートの結果でも、4割強の利用者が「決裁完了までの時間が短縮された」と実感し、「紙資料の管理・紛失リスク」に関しては7割の利用者が「削減された」と回答しています。「トライアルは、あくまでも限られた環境での運用。全社で部門横断が可能になると、時間だけではなく、拠点と本社といった距離の壁も克服可能なので、評価はさらに高くなる。」と今後の見通しを立てています。
また、同社では「働き方改革」の一環として「残業時間の削減」を重要なテーマの1つに掲げていますが、「Styleflow」の全社導入はそこに拍車をかける役割が期待されています。ちなみに残業時間削減は、単に労働時間を短縮するだけではなく、現場における創意工夫、属人化した業務の削減にもつながっているそうです。「Styleflow」によって「どこでもワーク」が拡充されれば、入社後の各段階に応じて多様な生き方・働き方が選択・実現できるワーク・ライフ・バランスの向上にも寄与することになるでしょう。
今後の課題と展望
最優先テーマは定着 多様な働き方の支援策として
沢田部長はワークフローの今後の展開について、「とにかく定着させることが重要」と強調します。そのため、全社導入に際しては、部門リーダーの育成をはじめ、利用者説明会の実施、社内ヘルプデスクの設置、食堂を利用したツール紹介のイベント、社内ポータルでの告知・解説など、きめ細かいフォローを実施しています。
同社では2017年度から在宅勤務制度の導入とサテライトオフィスの拡充をスタートさせており、すでに350名を超える社員がモバイル端末の利用申請をしています。その際に「Styleflow」が同社のテレワークを推進し、「働き方改革」における最重要目標として定めている「生産性向上」を踏まえたダイバーシティ化を支える有効なツールになることは間違いありません。
導入企業情報
東京ガス株式会社
1885年の創立以来130年以上の長きにわたり、首都圏を中心に展開し、都市ガス事業者として日本国内最大手の企業。1969年には日本で初めてLNG(液化天然ガス)を導入。 2011年に策定・発表した「チャレンジ2020ビジョン」では、「LNGのパイオニア、天然ガスのトップランナー」としてLNGバリューチェーンの一層の高度化を図ると共に、総合エネルギー化、グローバル化を推し進めている。
- 設立
- 1885年(明治18年)10月1日
- 所在地
- 東京都港区海岸一丁目5番20号
- ホームページ
- http://www.tokyo-gas.co.jp/
- 業種
- エネルギー
- 従業員規模
- 5000名以上
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本事例は2018年4月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
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記載されている会社名およびサービス名は、各社の商標または登録商標です。