新規事業におすすめのフレームワーク15選|実施の順番・テンプレート・成功のポイントも解説
不確実性の高い新規事業において、経験や勘に頼った進め方に不安を感じる方は少なくありません。「アイデアがまとまらず、説得力のある企画書が書けない」「効率的に思考を整理し、失敗のリスクを減らしたい」そう悩む場面も多いでしょう。
このような悩みを解決する手段として長年活用されているのが「フレームワーク」です。シーンに応じたものを活用すれば、事業の成功率向上に大いに貢献します。
本記事では、新規事業に役立つフレームワークを厳選して15個ご紹介します。すぐに使えるテンプレートや運用のコツなども解説しているので、実務で活用して成果を挙げたい方は、ぜひ参考にしてください。
- 新規事業でフレームワークを利用する前に整理すべきこと
- 市場調査・環境分析に役立つフレームワーク
- アイデア創出・顧客設定に役立つフレームワーク
- ビジネスモデル・戦略の構築に役立つフレームワーク
- 新規事業の意思決定・評価に役立つフレームワーク
- 新規事業プロジェクトのマネジメントに役立つフレームワーク
- TDCソフトならSAFe®導入からUXデザイン・開発まで幅広く支援
- 新規事業にフレームワークを活用するメリット
- フレームワークの効果を最大化するテクニック
- 新規事業でのフレームワークはどの順番で実施すべき?
- 新規事業におけるフレームワーク活用を成功させるポイント
- フレームワークの有効活用で、新規事業のスピードと品質を向上させる
新規事業でフレームワークを利用する前に整理すべきこと
フレームワークの効果を最大限に引き出すには、いきなり枠を埋めるのではなく、事前の準備が欠かせません。
まずは、インプット情報や判断の土台となる、目的と全体像の整理から始めましょう。
新規事業の目的
フレームワーク活用の前に整理しておきたいのが、なぜこの新規事業に取り組むのか、何を目標とするかです。目的が明確であれば、フレームワークの分析結果を適切に評価でき、より的確に意思決定を行えます。
また、どのフレームワークを使うべきか、どのようなデータを収集すべきかも明確になるため、分析そのものの精度が高まる点もメリットです。事業の方向性を決める指針ともなるため、目指す状態や数値を盛り込んだ具体的な目的を設定しましょう。
全体の流れ
新規事業開発には、型となるプロセスが存在します。事業内容によっても変化しますが、以下の流れを踏襲するのが一般的です。
-
事業活動の範囲や領域を策定
-
顧客の課題を特定
-
課題解決策の検討
-
事業性の検証
-
事業計画の策定と撤退基準の決定
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テストとリリース
全体像を把握しておけば、「現段階に必要なフレームワークが何か」を素早く判断できます。例えば、事業範囲の策定であれば市場調査や環境分析に役立つフレームワークが有効です。顧客の課題の解決策を検討する段階であれば、アイデアの創出に特化したものが適しています。
そもそもフレームワークとは?
フレームワークとは、複雑な事象を整理し、論理的に考えるための「思考の枠組み」です。情報の構造化により、思考の精度とスピードを向上させる効果を持ちます。また、成果物や結果に一定の型があるため、チーム内で共通言語として機能する点もメリットです。
しかし、フレームワークは万能ではなく、成功を確約するものでもありません。あくまで仮説を立て、思考を整理するためのツールであると理解し、形式的な運用や過信を避けることが大切です。適度な距離感を保てば「活用そのものがゴールになる」「かえって思考の精度が下がる」などの事態を防止できます。
市場調査・環境分析に役立つフレームワーク
新規事業の開始段階でぜひ実施しておきたいのが、自社を取り巻く環境を正しく理解するためのフレームワークです。マクロな視点からミクロな視点へと分析を進めつつ、市場と顧客、環境への理解を深めていきましょう。
以下では、戦略の論点整理に役立つ、3つの基本フレームワークを解説します。
PEST分析
PEST分析とは、世の中の大きな動きをつかむフレームワークです。政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの観点から分析します。また、事業や業種によっては法律(Legal)と環境(Environment)を加えることもあります。
実施する目的は自社ではコントロールできないマクロな環境を把握し、中長期的な変化とリスク、機会を推察することです。法改正や新技術の登場などは、事業にとって追い風にも向かい風にもなり得ます。分析の早い段階でPEST分析を行えば、先を見据えた事業戦略を立案できます。
3C分析
顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3視点で環境を分析するのが、3C分析です。ミクロな視点での分析を行う手法で、具体的な事業環境にフォーカスし、自社が成功するための鍵(KSF)を導き出すために活用します。
進め方はPEST分析の結果や顧客のニーズを起点に、競合と自社のリソースや動きなどを比較するのが基本です。丁寧に時間をかけて実施すれば、ビジネスでの勝ち筋や自社ならではの価値を見つけやすくなります。
SWOT分析
自社の内部環境(強み・弱み)と、外部環境(機会・脅威)を整理し、戦略の方向性を決定するフレームワークです。3C分析の結果を参照しつつ行う手法で、現状を多角的かつ深く分析できます。
新規事業の成功には、内部と外部の状況への深い理解が欠かせません。仮に不十分だと、リスクの見落としや機会損失を招くおそれもあるため、できる限り実施しましょう。
なお、近年では「強み×機会」「弱み×脅威」のように、それぞれを組み合わせる「クロスSWOT分析」もよく活用されています。
アイデア創出・顧客設定に役立つフレームワーク
市場環境を把握したら、次はアイデアを創出し、それを誰に届けるかを定めるステップです。
以下では、アイデア創出と顧客設定をサポートするフレームワークをご紹介します。
マンダラート
マンダラートとは3×3のマス目を使い、アイデアを広げていく発想法です。1つのテーマから最大64個のアイデアを生み出せるため、思考が煮詰まった際や、視点を広げたいときに役立ちます。
使い方はシンプルです。中央に課題やテーマを書き、周囲の8マスに関連ワードを埋めます。さらにその8つを新たな中心に据えて要素を展開することで、アイデアの結合や深化を促進します。
SCAMPER法
既存の製品やアイデアに対し、7つの質問を投げかけるフレームワークです。質問に沿って考える形式を採用しており、特に短時間で多くのアイデアを出したい場面で役立ちます。また、多角的に検討できるため、既存事業の方向転換や差別化を検討する際にも活躍します。
投げかける質問は以下のとおりです。
| 切り口 | 質問の例 |
|---|---|
|
代用(Substitute) |
他の素材や人に変えられないか? |
|
結合(Combine) |
他の機能やサービスと組み合わせられないか? |
|
応用(Adapt) |
他の分野のアイデアを応用できないか? |
|
修正(Modify) |
大きさや色、形を変えられないか? |
|
転用(Put to other uses) |
本来の用途以外で使えないか? |
|
削減(Eliminate) |
何かを減らしたり、なくしたりできないか? |
|
逆転・再編成(Reverse/Rearrange) |
順番を逆にしたり、役割を入れ替えたりできないか? |
ペルソナ分析
「誰の課題を解決するのか」を明確にするため、典型的なユーザー像をリアルに設定するフレームワークです。顧客分析やアンケートなどで取得したデータをもとに、年齢や職業、価値観、抱えている悩み、行動パターンなどを詳細に描き出します。
ペルソナを活用すれば、チーム内でサービスや製品を届けるべき共通の人物像をスムーズに共有できます。その結果、マーケティングや開発の方針がぶれなくなり、顧客視点に立った意思決定が可能です。
新規事業のビジネスモデルや戦略の構築にも役立つため、ある程度のリソースを投入し、丁寧に実施しましょう。
ビジネスモデル・戦略の構築に役立つフレームワーク
アイデアと顧客が決まったら、「どのように価値を提供し、収益を上げるか」を具体化します。
ここで紹介するフレームワークは、新規事業の戦略を構造化し、ビジネスとしての実現可能性を高める手助けをします。
STP分析
STP分析は、市場の細分化(S:セグメンテーション)と狙う顧客の決定(T:ターゲティング)、自社の立ち位置の明確化(P:ポジショニング)の3視点で分析を行うフレームワークです。主にターゲットとするセグメントに対し、どのような戦略を取るかを決める際に活用されます。
リソースの限られた新規事業において、すべての顧客を満足させることは不可能です。本分析の中で「誰に・どのような価値で・どう勝つか」を定義すれば、他社と差別化する戦略も見つけやすくなります。結果として、特定の顧客層に深く刺さる独自のポジションを確立でき、成果を挙げられる確率を高められます。
カスタマージャーニーマップ
見込み客のサービス認知から、購入・利用し、ファンになるまでの一連の体験を可視化するフレームワークです。時系列に沿って顧客の行動や感情の動きを追うことで、満足度を高めるポイントや、離脱の原因となるボトルネックを発見できます。
また、顧客体験(UX)の向上に役立つ点も特徴です。場面ごとの顧客心理を分析できるため、サービス全体としてどのような体験を提供すべきかを、具体的に設計しやすくなります。
また、課題の所在や深刻度が可視化されるため、着手すべき施策の優先順位付けにも非常に有効です。
リーンキャンバス
ビジネスモデルの仮説を9つの要素で1枚のシートにまとめる、スタートアップや新規事業向けのフレームワークです。主に、事業が顧客に対してどのように価値提供できるかの整理や、事業の実現可能性を整理する際に活用されます。考える要素は以下のとおりです。
-
顧客セグメント:ターゲットとなる顧客は誰か?(アーリーアダプターは誰か?)
-
抱えている課題:顧客が抱える解決すべき課題は何か?(既存の代替手段は?)
-
独自の価値提案:なぜ顧客はあなたを選ぶのか?(他にはない強み)
-
ソリューション(解決策):課題を解決する機能やサービスの内容は?どのように課題を解決するか?
-
チャネル:顧客にどうやって到達し、製品を届けるか?
-
収益の流れ:どうやってお金を稼ぐか?(価格設定、課金モデル)
-
コスト構造:事業を行うために必要な費用は?(固定費、変動費)
-
主要指標(KPI):成功を測るための数値指標は?
-
圧倒的な優位性:他社が簡単に真似できない強みは?
最大の特徴は、短時間で作成・修正ができる点です。不確実性の高い新規事業では、最初から完璧な計画書を作るよりも、リーンキャンバスを使って素早く仮説検証のサイクルを回すことが求められます。まずはこのフレームワークを活用し、ビジネスモデルの整合性や論理性を素早く検証しましょう。
新規事業の意思決定・評価に役立つフレームワーク
不確実な新規事業において、「進むべきか、撤退すべきか」の判断は極めて困難です。
客観的な基準を持ち、感情に流されない意思決定を行うためのフレームワークを紹介します。
PPM分析
市場成長率と市場シェアの2軸で事業を分類し、経営資源の配分を判断するフレームワークがPPM分析です。プロダクトポートフォリオマネジメント(Product Portfolio Management)の略称で、作業の中で事業を以下の4つのいずれかに分類します。
| 分類 | 市場成長率 | 市場シェア | 戦略の方向性 |
|---|---|---|---|
|
花形 |
高い | 高い | 積極的な投資でシェアを維持・拡大 |
|
金のなる木 |
低い | 高い | 投資を抑制し、生み出された資金を他に回す |
|
問題児 |
高い | 低い | シェア拡大のための追加投資か、撤退かを判断 |
|
負け犬 |
低い | 低い | 事業の整理・撤退を検討 |
新規事業は「問題児」からスタートするのが一般的です。ここから投資を続けて「花形」を目指すのか、シェア拡大の見込みがないと判断して撤退するのか、ポートフォリオ全体を見ながら戦略的に判断します。
ステージゲート法
プロジェクトを5〜6程度のステージに分割し、各段階の関門(ゲート)で評価を行う管理手法です。ゲートごとに「アイデア・事業の妥当性」「既存リソース・技術との適合性」といった基準で精査し、継続か中断かを判定します。
この仕組みを導入することで、プロジェクトの早期撤退、リソースの追加などの経営判断をより高精度で行えます。柔軟性を重視する場合は若干の調整が必要ですが、新サービスや新製品の開発においては有用なフレームワークです。
ユニットエコノミクス
ユニットエコノミクスは、主にサブスクリプション型のビジネスで用いられるフレームワークです。顧客1人あたり、または1ユニットあたりの採算性を測る指標で、リソース追加の判断や収益性の見直しに利用されます。
計算式は「LTV(顧客生涯価値)÷CAC(顧客獲得コスト)」を用いるのが一般的です。なお、計算結果については、3以上であることが健全な事業の目安とされます。
サブスクリプションモデルでは、初期赤字が先行するため、全体の損益だけでは事業の判断が困難です。本フレームワークを活用し、収益性を監視すれば、より的確な意思決定ができます。
新規事業プロジェクトのマネジメントに役立つフレームワーク
アイデアを形にし、事業を成長させる実行フェーズでは、スピードと柔軟性が求められます。
本章では、効率的な新規事業プロジェクトの運営をサポートする、3つのフレームワークをご紹介します。
PDCAサイクル・OODAループ
PDCAサイクルとOODA(ウーダ)ループは、プロジェクトの進行をサポートするフレームワークです。PDCAサイクルは「計画→実行→評価→改善」のサイクルを回す手法で、プロダクト品質や業務効率などの向上に役立ちます。
一方のOODAは「観察→状況判断→意思決定→実行」のループを回す手法です。判断と実行の繰り返しに重点を置いているため、変化の激しい分野や業種にも柔軟に対応できます。
予測困難な新規事業では、まずOODAループを活用し、迅速に意思決定を重ねるのが基本です。そして、プロダクトや業務の品質を高める必要が出た場面で、PDCAを活用するとフェーズに応じた最適なマネジメントを実現できます。
WBS
WBS(作業分解構造図)とはプロジェクトに必要な作業を洗い出したうえで、細分化と階層化を行う手法です。プロジェクトの計画段階で実施するフレームワークで、スケジュールとタスク、コストの管理を円滑にします。
整理した要素が、そのままガントチャートのタスクとして使える点もメリットです。また、関係者全員に共有すれば、プロジェクトの透明性が向上し、認識のズレも防止できます。
SAFe®
SAFe®(Scaled Agile Framework)は、開発現場に留まらず、組織全体でアジャイルな働き方を実現するための包括的なフレームワークです。ここでいう「アジャイル」とは、短い期間で計画と実行のサイクルを繰り返し、変化に柔軟に対応する開発手法を指します。
このアジャイル手法には、少人数(概ね10名以内)のチームで高い柔軟性を発揮する「スクラム」が含まれており、SAFe®はそのスクラムのアプローチを基盤としつつ、大規模なエンタープライズ組織でも運用可能となるよう拡張されたフレームワークです。さらに、経営の戦略判断と現場の実行をつなぐLean Portfolio Managementの仕組みにより、組織全体で優先度を揃え、一貫した価値創出を促進できる点も大きな特徴です。SAFe®を導入することで、組織全体にアジャイルのメリットを拡げることが可能となり、主な利点は以下の通りです。
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組織の柔軟性が向上する:ニーズや市場の変化にも柔軟に対応できる
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市場投入までの時間を短縮:複数のスクラムチームの連携や意思決定を円滑化し、迅速なリリースを実現する
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プロダクト品質の向上:組織全体で品質基準を統一することで、プロダクト品質の水準を高く保てる
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従業員意欲・生産性の向上:自律的な行動を促す環境と、プロセスの変革による無駄の排除がエンゲージメントと生産性を高める
SAFe®の導入には、認定SAFe® Program Consultant(SPC)のサポートが不可欠です。SPCは、フレームワークの適切な運用や組織への定着を支援し、円滑な導入プロセスを確保します。組織のパフォーマンスと柔軟性を向上させたい場合は、SPCとともにSAFe®の導入をぜひご検討ください。
参考:Scaled Agile, Inc.|What Is SAFe®?
TDCソフトならSAFe®導入からUXデザイン・開発まで幅広く支援
新規事業を成功させるには、適切なフレームワークの選定と、それを実行に移す組織体制が不可欠です。
TDCソフトでは、組織づくりにおける課題の解決を支援する、「SAFe®」の導入支援サービスを提供しております。弊社には多数の認定コンサルタントが在籍しており、コンサルティングとトレーニングを組み合わせた手法で、確実な導入と定着を強力にサポートします。また、ご要望に応じてUXデザインやアジャイル開発の実務支援まで一貫して提供できるため、構想から実行までをシームレスにつなげることが可能です。
TDCソフトは、SAFe®導入から現場のアジャイル実践まで一貫して支援します。体制づくりや運用に課題があれば、ぜひご相談ください。組織が自走できる未来を見据え、伴走型でサポートいたします。
SAFe®とTDCソフトの取り組みの詳細を知りたい方はこちら
TDCソフトのSAFe®トレーニングの詳細を知りたい方はこちら
新規事業にフレームワークを活用するメリット
フレームワークの導入は、単なる作業効率化以上の価値をもたらします。
ここでは、フレームワークが新規事業にもたらす、本質的なメリットを4つに整理しました。
1. 客観的な視点での意思決定が可能になる
フレームワークを活用すれば、判断の質が個人の思い込みや経験、勘などに左右されるリスクを排除できます。なぜなら、成功事例や理論体系に裏打ちされた型を使うことで、データや論理に基づいた体系的な思考が可能になるからです。
主観性を排除する型を活用するため、客観的な視点で意思決定を行えます。また、思考や認知の偏りも抑制できるため、分析や計画の精度も高められます。客観的かつ高精度なアウトプットにより、提案の説得力が増すことで、決裁者の承認を得やすくなる点も大きなメリットです。
2.共通認識や共通言語の形成に役立つ
新規事業には、マーケティングや開発、営業など多様な背景を持つメンバーが集まります。しかし、言葉の定義や認識が異なるケースも多く、話が噛み合わないことも少なくありません。
一定のルールがあり、成果物の形式にも決まりがあるフレームワークを活用すれば、共通認識や共通言語をスムーズに形成可能です。
例えば「リーンキャンバス」を用いれば、ビジネスの全体像をわかりやすい形式で共有でき、認識のズレも防止できます。さらに、同じ図を見ながら議論すれば、共通言語として機能し、チームの一体感を強化できます。
3.検討や確認の抜け漏れをなくし、成功確度・生産性を高める
先人の知恵が詰まったフレームワークは、優れたチェックリストでもあります。ゼロから項目を考える必要がなく、埋めていく過程で自然と重要な論点を網羅できます。
検討や確認の漏れによる手戻りは、プロジェクトにとって致命的なロスです。フレームワークを活用して抜け漏れをなくせば、本来時間を割くべき業務にリソースを集中できます。結果として、新規事業の成功確度と生産性を高められます。
4.品質・UXの向上に役立つ
フレームワークはプロダクトやサービスの品質、UX(顧客体験)の向上にも役立ちます。例えば、SCAMPER法やPDCAサイクルを活用すれば、アイデアを効率的にブラッシュアップでき、結果として品質の向上にもつながります。
また、カスタマージャーニーマップやペルソナを活用すれば、顧客視点を意識したプロダクト・サービス設計が可能です。さらに、ニーズや感情を深く理解でき、UXデザインもスムーズに進められます。
フレームワークの効果を最大化するテクニック
フレームワークはインプットの質を高め、多角的な視点を取り入れることで、初めて真価を発揮します。
以下では、アウトプットの質を一段階引き上げるための、具体的なテクニックを3つご紹介します。
1. ブレインストーミングで多様な視点を取り入れる
一人で考え込むと、どうしても思考に偏りが発生します。また、見落としや漏れも生みかねないため、複数のメンバーを集めて行う「ブレインストーミング」を実施し、多様な視点を取り入れましょう。
「批判厳禁」や「質より量」などのルールがあるブレインストーミングなら、自分では気づけなかったリスクや、斬新なアイデアが見つかります。専門的なアドバイスももらえるため、フレームワークのアウトプットの質も高めやすくなります。
2. 実顧客へのインタビューを実施
フレームワークに入力する情報は、机上の空論や完全な想像ではなく、実際の顧客の生の声であることが望ましいです。予算や人員によっては収集が難しい場合もありますが、可能な限りインタビューを実施し、生の声を集めましょう。
裏付けのある一次情報を活用すれば、フレームワークを使った分析の精度を高められます。仮説の説得力が増し、決裁者を説得しやすくなる点も大きなメリットです。
3. ブレインストーミングで多様な視点を取り入れる
思考が行き詰まりがちで、気軽に相談できないなどの課題がある場合は、ChatGPTなどの生成AIを壁打ち相手にしましょう。
一次情報ほどの生きたデータは得られませんが、アイデア創出のサポートや方向性の相談などの用途では、一定品質以上のアウトプットが得られます。高いリサーチ能力に加え、フレームワークのテンプレートを瞬時に作成できる点もメリットです。
ただし、AIの回答には誤りが含まれる可能性もあります。あくまで思考を刺激するパートナーとして活用し、最終的なファクトチェックや意思決定は人間が行うよう留意してください。
新規事業でのフレームワークはどの順番で実施すべき?
フレームワークの活用順序には、大まかなルールが存在します。
本章では、新規事業におけるフレームワーク活用の基本的な順序と、順番を決める際の考え方を解説します。
調査・分析関連のフレームワークから取り組むのが基本
新規事業でのフレームワークは、調査や分析に関連するものから実施するのが基本です。市場や環境の調査は、計画の土台を作ります。さらに、アイデア創出や戦略に関するフレームワークに使える情報も同時に取得できるため、最初に実施しましょう。
その後については、以下の順で進めるのが定番です
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アイデア創出・顧客設定(何を・誰に)
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ビジネスモデル・戦略の構築(どのように)
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新規事業の意思決定・評価(やるか・やらないか)
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新規事業プロジェクトのマネジメント(どう進めるか)
まずは情報収集で足元を固め、段階的に事業内容を具体化させるイメージで進めると効率的です。なお、本記事では上記の順で解説しているので、フレームワークを活用する際は、ぜひ参考にしてください。
状況に合わせて、柔軟に見直しや追加を行ってもよい
新規事業は不確定要素が多く、すべてが順調に進むとは限りません。必要に応じて前の段階のアウトプットを見直したり、フレームワークや調査を追加で実施したりしても大丈夫です。
例えば、顧客インタビューで新たな事実が判明した場合、ペルソナ設定に戻って修正を加えるといった対応が必要です。フレームワークの効果を最大化し、新規事業の成功確率を高めるためにも、状況に合わせて柔軟に対処しましょう。
新規事業におけるフレームワーク活用を成功させるポイント
フレームワークの種類を知り、効果を最大化するテクニックを実践するだけでも十分な効果が期待できます。しかし、活用方法や運用面にボトルネックがあり、成功が遠のくというケースも少なくありません。
以下では、新規事業でフレームワークを活用するならぜひ知っておきたい、3つのポイントをご紹介します。
1. ユーザー・市場・環境の分析を丁寧に実施する
序盤に行うユーザーや市場、環境の分析は丁寧に実施しましょう。なぜなら、アイデア創出や顧客設定以降のフレームワークは、入力する情報の質が高いほどアウトプットの精度が高まるからです。
仮に想像のみで項目を埋めたり、分析が甘かったりすると優秀なフレームワークを使っても思うような結果を得られません。アイデア出しのような派手さはありませんが、可能な限りリソースを投入し、事実の収集と的確な分析をすることが重要です。
2. フレームワークで導き出した答えを確実に反映させる
フレームワーク活用のゴールは、アイデアの創出や図表の作成ではありません。重要なのは、そこから導きだした答えをアクションに落とし込むことです。サービスや製品の仕様、ロードマップなどに組み込み、得られた示唆を存分に活かしましょう。
また、意思決定や戦略、評価に関するフレームワークの成果物を常に手元に置き、判断の材料とすることも有効です。ただ使うのではなく、得られたものを活用する姿勢が、新規事業の推進を後押しします。
3. 新規事業を円滑に進められる体制を構築する
フレームワークにより優れたアイデアや戦略を創出しても、素早く実行に移せる組織体制がなければ思うような成果を挙げられません。さらに、スピードやリソースの不足が深刻な場合、大きな機会損失を招くリスクもあります。
このようなトラブルを防止するためにも、新規事業を円滑に進められる仕組みの構築が不可欠です。専門スキルを持つ人材の適切な配置、承認フローの見直しなどを行い、事業をスピーディーに推進できる環境を作りましょう。
もし社内にリソースやノウハウが不足している、あるいは大規模な改革が必要なら、外部の専門家を巻き込むことも有効な選択肢の一つです。
フレームワークの有効活用で、新規事業のスピードと品質を向上させる
新規事業を成功に導くためには、個人の経験や勘だけに頼るのではなく、体系化された「フレームワーク」の活用が有効です。フェーズや状況に合わせてフレームワークを利用すれば、複雑な情報が整理され、チームの一体感も高められます。
客観的かつ迅速な意思決定が可能になる点もメリットです。これにより不確実性の高い市場環境にも対応できる、プロダクト品質とスピードを両立可能な体制を構築できます。
ぜひ、本記事で紹介した手法を羅針盤として、新たな価値創出に挑戦してください。もし、体制構築にお悩みの際は、フレームワーク「SAFe®」の導入を力強く後押しできる、TDCソフトまでご相談ください。貴社の課題に合わせた最適な解決策をご提案します。