東京きらぼしフィナンシャルグループ様
Salesforceの金融サービス向けソリューションを活用したCRMシステム構築
顧客情報の集約と営業情報の即時可視化により
グループ全体の業務効率と生産性を向上
導入のポイント
- Salesforce Financial Service CloudによるCRMシステム構築
- 導入における既存システムへの負荷を綿密な調整で低減
- 円滑な研修支援からシステム利用の促進まで伴走型でサポート
- 蓄積データを活用しグループ全体におけるシナジーを発揮
インタビュイー

館野智昭 氏

理事 営業本部副本部長
兼 営業企画部長 岡部光洋 氏

ソリューションサービス統括部
パッケージソリューション部 担当部長
井田修 氏
導入の背景
グループ一体となった顧客対応のために
東京きらぼしフィナンシャルグループは、2018年5月、首都圏を営業基盤とする3つの銀行が合 併して誕生した、きらぼし銀行を中心とした総合 金融グループだ。きらぼし銀行のほか、アプリバ ンキングを提供するUI銀行やコンサルティング会社、証券会社など20を超えるグループ会社を展開し、グループの総合力を発揮することにより、お客さまや地域の立場に立った多様な課題解決 に取り組んでいる。
お客さま本位の営業活動を実現していくためには、グループ一体となった顧客対応を実現する必要があり、顧客データを保有するシステムの拡張・高度化が急務だったが、そこには数々の課題が存在したと、グループ全体のデジタル戦略を担う館野氏は振り返る。
「特に旧行時代からのシステムを継承していることにより複数のシステムに情報が散在しているため、将来的に蓄積されたデータを活用してシナジーを生み出すことが困難な状況でした。また、営業活動が アナログで属人化していることや、営業情報の適切な蓄積ができていないなど、営業の効率化の面でも課題がありました。」
これらに加えて、経営意思決定に必要な営業パフォ ーマンス情報を、スピー ディに可視化できないという課題も抱えていたという。
短期でのシステム拡張 ・ 構築を目指して
一方、導入期間のハー ドルもそこにはあった。
検討開始時点で、他にも複数のデジタル系プロジェクトが同時進行していたため、新たな施策に行内リソースを大きく割り当てられないという実情があり、その中で数々の課題を解決していくには短期間で導入を完了させることが必須だった。
こうした数々の課題をクリアし、採用されたのが Salesforceだ。
「当然、他のシステムとも比較しましたが、デモなどを通して機能の充実度や拡張性を確認した結果、内製化しやすい点、さらには同一基盤で複数のシステムを動かすことができる高い拡張性が、採用の一番の決め手となりました。また、プロジェクト期間の問題もあり、当行の意向やタイムラインに入り込んでいただけるベンダーでないとお任せできない状況でした。」
その点、他社への導入実績があり、素早い機動力と意思決定ができるT D Cソフトが最適の パートナーであるという結論に至ったと、当プロジェクトの主管である、きらぼし銀行営業企画部の岡部氏は導入の経緯を語る。
導入の効果
負荷対策と遅延回避への取り組み
開発にあたっては、操作性や現行システムとの相違点に関して様々な問題が生じたが、システムリリースは喫緊の課題であったため、問題解決と開発遅延を回避することが同時に求められた。
「複数存在するサブシステムに大きな負荷を かけることなくCRMシステムを導入するために、 T D Cソフトには当行本店に常駐にて対応いただいたことから、いつでも膝を突き合わせて議論を重ねることができ、短期間での実現が可能となりました。」(岡部氏)
営業企画部だけでなく様々な関係部署とのやりとりを常時おこない、合意形成や調整を重ねながらの円滑な対応が功を奏したと言えるだろう。
開発現場のマネジメントを担ったT D Cソフトの井田は、この開発プロジェクトには大きく、開発面と調整面での導入課題があったと振り返る。
「開発面では、短期導入、リスケ不可、複数フェーズ並行開発の3つが課題でしたが、当社は“開発工程を遅延させることは致命的’’と考え、要件定義段階から別部隊を投入することで遅延リスクの低減に努めました。調整面では行員関係者様の多忙、調整部署多数の2つが課題でしたが、きらぼし銀行様に当社専用の作業場所を確保いただき、基本設計以降もキーマンを常駐させることにより認識岨願リスクの低減に努めました。」

モバイル運用で情報の即時記録が可能に
多くの課題を乗り越えながら、当初の予定通りシステムのリリースは完了。導入後、その効果はすぐに業務に現れたという。
「社用携帯電話を利用したモバイル端末での運用が始まり、行員が外出先で情報確認や交渉登録ができるようになったことで、即時に情報を記録することが可能となりました。今後はモバイル活用を促進していくことで、営業店帰店後の作業時間創出が図られ、働き方に変化を与えてくれることを期待しています。」(岡部氏)
システム運用についても、リリース前の行内研修にはT D Cソフトのキーマンが立ち会い、システム関連の質問に関しても即時回答できるよう要員配置するなど円滑な研修を支援したほか、行内で研修場所の確保が難しい場合には、T D Cソフトの研修室を貸し出すことでより多くの行員が研修受講できる環境づくりにも協力。リリース後は、安定稼働の第一歩として営業企画部とT D Cソフトが一体となってログイン状況監視をおこない、未ログイン行員に対してCRMシステムの利用を促すことでログイン率向上に努めた。
また、ログイン後の『案件』『活動』の入力や『日誌作成』といったシステム利用の向上を目的に、営業企画部、セールスフォース社とともに支店現場に伺い、直接現場の方々からの操作方法をはじめとする各種質問に対応するなど、密度の高い運用サポートを行なっている。
「些細なことでもすぐに相談・対応できるよう、 T D Cソフトには継続して当行本部に常駐いただ いており、常に当行に寄り添い意向に即した迅速な対応を実践してもらっています。」(岡部氏)
現在は、将来的な情報の活用を見据え、細部の入カルールの整備を集中的に進めている。
情報の共有化と営業事務の効率化を実現
Salesforceパッケージの導入による具体的な効果として、大きく2点が挙げられるだろう。
1つ目は、情報の共有化だ。これまで各営業店が保有していだ情報や案件は一部の本部部署と共有するのみだったが、CRMシステムにより情報は本部・全営業店間で共有され、顧客情報・営業情報の可視化が実現したという。
「成功・失敗の営業情報を共有してデータを活用することで、お客さまに対してより高度な提案や選択肢を検討することが可能となりました。また、行員の営業力向上にもつながるはずです。」と岡部氏は期待を寄せる。
2つ目の効果は、これまで複数のシステムや紙ベースで情報を記録していたが、CRMの導入により登録作業が一本化され、営業事務の効率化が実現した点だ。
「リアルタイムでの実績・見込が見える化され、時間を要していた日誌承認フローについても営 業店行員の要望を汲み取り、効率的な運用へと改善が図れました」と、岡部氏はその成果を語る。
今後の展望
業務効率化と生産性向上を目指して
現在、CRMシステムの現場への浸透・定着化 を進めているが、今後は、活動を通じて蓄積された営業データを活用していく段階に入っていくと、岡部氏は先を見据える。
「登録された行動を集計・分析することで業務内容を把握し、時間配分の改善や効率化できる業務の洗い出しにも活用できると考えています。また、業務効率化と同時に、行員一人一人が自身の活動を見直すことで営業の生産性を高めていくことも目指していきたいと思います。」
さらに、グループ会社への横展開によるシナジーの発揮も大きな目標の一つだ。レギュレーション確認など、いくつか壁はあるものの、各社が顧客情報を集約・活用することも視野に入れ、システム拡張を目指している。
また、デジタル戦略部の舘野氏は、システム保 守・開発の内製化をもう一つの目標として挙げる。
「数名の内製化要員を配置していますが、ノウハウ・スキルのトランスファー・技術の底上げについては、T D Cソフトの協力なしでは実現できないと考えており今後とも大変期待しています。」
Salesforceの高い拡張性とT D Cソフトの伴走型サポート、2つのシナジーを追い風に、当フィナンシャルグループ一体となった顧客対応は、次なる進化を遂げようとしている。
動画
導入企業情報
株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ
持続可能なビジネスモデルへの変革を実現すべく、「金融にも強い総合サービス業」を将来像に掲げ、ブランドスローガン「TOKYOに、つくそう。」のもと、グループ総合力を最大限に発揮して、お客さまや地域の多様な課題解決に真摯に取り組んでおります。
- 設立
- 2014年10月1日
- 所在地
- 東京都港区南青山三丁目10番43号
-
本記事は2024年2月に取材した内容を基に構成しています。記事内のデータや組織名、役職などは取材時のものです。
-
記載されている会社名およびサービス名は、各社の商標または登録商標です。