AIエージェントの種類をタイプ別・用途別で解説|主要製品や選び方・リスクと対策も紹介

生産性を高めるツールとしてAIエージェントを活用したいものの、自社のどの業務に、どの種類が合うのかを判断しきれず、着手できずにいる方も多いのではないでしょうか。仮に種類や製品ごとの特性を把握しないまま進めると、導入後の再選定リスクにもつながります。

本記事では、AIエージェントのタイプ別・用途別の種類と、導入実績が豊富な主要製品をご紹介します。あわせて、自社に合う製品の選び方や、運用時のリスクと具体的な対策も解説しているので、最適なツールを選び生産性を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。

AI導入後の運用リスクを最小限に抑えたい方は、社内ネットワーク内で安全に使えるAI環境「Nenoa」もあわせてご覧ください。 

 

 

AIエージェントの基本|一般的なAIとの違いと注目される背景

自社に合うAIエージェントの種類を見極める第一歩は、AIエージェントとは何かを正しく理解することです。

ここでは、ChatGPTに代表される一般的な生成AIとの違いと、ビジネス領域で急速に注目を集めている背景を整理します。

一般的なAIとの違いは自律性の高さ

一般的な生成AIは、人が質問や指示(プロンプト)を与えて初めてテキストや画像を生成する「受け身」の存在です。これに対してAIエージェントは、目標さえ与えられれば、達成までの道筋を自らタスクに分解して計画を立て、主体的に行動します。

Web検索や外部の各種サービスといった、複数のツールを状況に応じて自動で使い分ける点も特長です。さらに、途中でエラーが起きたり前提が変わったりしても、自分で修正しながら目標達成を目指します。このように、高度な自律性と柔軟性を備え、自らゴールまでたどり着ける点が、一般的なAIとの大きな違いです。

【関連記事】AIエージェントができることは?Boomi AIの基礎も解説

実用レベルのツールが次々と登場し、ビジネスでも活用が広まる

注目が高まる背景には、実用段階のツールが急速に整ったことがあります。2025年は「AIエージェント元年」と呼ばれ、技術基盤の飛躍的な進化を受けて、世界中で実用レベルのツールが急速に普及しました。2026年に入ってからもその進化は着実に続いています。

活用は一部の先進企業にとどまりません。金融・製造・人材サービスなど幅広い領域で、業務プロセスそのものを変革するツールとして本格的な導入が進んでいます。また、自治体での導入も進んでおり、東京都世田谷区ではAIエージェントを搭載した「Genspark」の導入・検証が進んでいます。

参考:世田谷区が自治体として国内初の「Genspark」を導入“業務の一気通貫”を支援し、職員業務改革を加速

【タイプ別】AIエージェントの種類

AIエージェントは、対応できる業務範囲や構成のしかたによって、大きく4つのタイプに分けられます。

それぞれ得意な領域や導入のしやすさが異なるため、まずは全体像を押さえておきましょう。

幅広い業務に対応する「汎用型」

汎用型は、用途を限定せず、幅広い業務に柔軟に対応できるタイプです。チャットでの応答からデータの収集・分析まで、一つのエージェントで多様なタスクをこなせます。特定の部門に縛られないため、複数の部署やプロジェクトを横断した活用に向いている点が強みです。

汎用性が高い一方で、自社特有の専門業務に適合させるのは難しい場合があります。そのため、まずは全社的な生産性の底上げを狙いたい企業や、活用範囲をこれから見極めていきたい検討初期の段階に適したタイプといえます。

特定の領域に特化した「特化型」

汎用型とは対照的に、特化型は採用業務やカスタマーサポート、経費精算など、特定の業務領域に絞って機能するタイプです。呼び出せるデータや実行できる機能があらかじめ限定されているぶん、その専門領域での業務効率化には高い効果を発揮します。

用途が明確なため導入のハードルが低く、効果も測定しやすいのが特長です。実際、企業における活用検証や本格導入は、この特化型が先行して進んでいます。「まず一つの業務で確実に成果を出したい」というニーズには、汎用型よりも特化型のほうが向いているケースが多いと言えます。

複数のAIが協調して動く「マルチエージェント型」

マルチエージェント型は、複数のAIエージェントが互いに連携し、情報を共有しながら一つの目標を目指す仕組みです。全体を指揮するエージェントが複雑なタスクを分解し、データ収集・分析・要約といった得意分野を持つ各エージェントに割り振って、並行処理を行います。

一つのエージェントでは抱えきれない規模や複雑な業務において、高いパフォーマンスを発揮する点も特長です。そのため、医療現場のシミュレーションや金融のリスク分析、物流ルートの最適化など、多角的な判断を要する場面にも対応できます。

自社の業務に合わせて開発する「カスタム構築型」

カスタム構築型は、独自のAIエージェントを開発できるタイプです。プログラム(コード)の記述を極力省いた「ノーコード・ローコード」のツールを使い、自社でエージェントを構築します。画面上のパーツをドラッグ&ドロップで組み合わせるといった直感的な操作で、自社固有の業務フローや社内データベース、外部ツールと連携したシステムを短時間で作成できます。

最大の強みは、現場の課題に合わせて柔軟にカスタマイズできる点です。エンジニアでない担当者自身が開発や改善に関われるため、現場の実態に即したエージェントを育てやすくなります。

ここまでの4タイプの比較を、以下の表にまとめました。

タイプ 特長 向いている場面

汎用型

幅広い業務に柔軟に対応

全社的な生産性向上、活用範囲の見極め

特化型

特定業務に絞って高い効果

用途が明確な業務の効率化

マルチエージェント型

複数のAIが連携・並列処理

多角的な判断が必要な大規模プロセス

カスタム構築型

自社業務に合わせ独自に構築

固有の業務フローへの最適化

【業務領域別】AIエージェントの種類

AIエージェントは、構成上のタイプとは別に「どの業務領域を支援するか」という切り口でも整理できます。

ここでは、現在ビジネスで導入が進む代表的な6種のエージェントを紹介します。

コーディングエージェント

コーディングエージェントは、コードの記述や修正といった開発作業をAIが担う支援ツールです。入力中のコードを補完する簡易なものから、「テストを実行し、失敗を検知したら自動でコードを修正して再テストする」といったプロセスを自律的にこなす高度なものまで、さまざまな製品が存在します。

共通しているのは、開発者が繰り返し行う定型作業を代行する点です。その分、担当者は設計やロジックの構築といった判断を要する業務に集中しやすくなります。

【関連記事】【2026年最新】生成AIコーディングツールおすすめ10選!活用法や選び方も解説

タスク代行エージェント

タスク代行エージェントは、手順化できる定型業務から複合的な作業まで、AIが人の代わりに遂行する仕組みの総称です。単なる質疑応答にとどまらず、依頼された目的の達成に向けてタスクを自ら分解し、優先順位を判断しながら一連の作業を自動で進めます

対応できる業務の代表例は、顧客情報の収集やメールの自動作成、資料作成です。特化型にもこのタイプは多く存在し、業界・業種特有のタスクを効率化するために活用されています。

リサーチエージェント

リサーチエージェントは、人が「目的」を指示するだけで、Webサイトや論文、各種データベースなどを横断的に調べ、自律的に情報を集めるツールです。従来の検索エンジンが「検索結果の一覧」を返すのに対し、リサーチエージェントは調査から分析、レポート作成までを一気通貫で担う点が大きく異なります。

代表例はChatGPTやGemini、Perplexityなどが備える「Deep Research(ディープリサーチ)」です。活用により市場調査や競合分析など、これまで多くの時間を要していたリサーチ業務を大幅に効率化できます。

カスタマーサポートエージェント

カスタマーサポートエージェントは、顧客からの問い合わせに24時間365日対応する、顧客対応に特化したツールです。過去の問い合わせ履歴やよくある質問、マニュアルなどを参照し、内容に沿った回答を自動で生成します。

メールの返信文の作成から送信までを自動化するほか、AIだけでは解決が難しい案件を人のオペレーターへ引き継ぐ(エスカレーション)ことも可能です。問い合わせ対応の負荷軽減と応対品質の維持を両立できる点が、幅広い業種で活用されている理由です。

データ分析エージェント

データ分析エージェントは、データの取り込みから処理、分析までの一連の流れを自動化し、分析業務を効率化するツールです。大量のデータを自律的に処理し、分析結果や見えてきた示唆をレポート形式で提示します。

日本語で指示できるため、専門知識のない担当者でも分析業務を扱いやすい点が特長です。高度かつ迅速な分析によって意思決定の速さと精度が高まるうえ、特定の担当者に依存しがちだった分析業務を標準化する効果も見込めます。

営業支援エージェント

営業支援エージェントは、情報収集・文書作成・フォローアップなど、営業活動の各フェーズをAIが代行・支援するツールの総称です。見込み客のリサーチや商談後の議事録作成、顧客へのメール文面の自動生成など、担当者が繰り返し行う定型業務を効率化します。

顧客情報管理システム(CRM)と連携することで、データ入力や商談記録の自動化を実現できる点もメリットです。担当者の経験やスキルに左右されがちな営業活動の質を底上げできるため、幅広い業種・規模の企業で注目されています。

AIエージェントの仕組みから見た種類

AIエージェントは、内部の判断の仕組みに着目すると、学術的に5つのタイプに分類されます。製品選定で直接活かせる知識ではありませんが、製品が掲げる「自律性」の水準を見極める際に役立ちます。

種類 性質

単純条件反射エージェント

今の状況に対し、あらかじめ決めたルールで反応する。過去や将来は考慮しない

モデルベース反射型エージェント

内部に状況や履歴の「モデル」を持ち、変化を踏まえて判断する

目標ベース型エージェント

設定された目標に向け、複数の選択肢を評価して最適な行動を選ぶ

効用ベース・エージェント

各行動の価値を数値で測る「効用関数」を用い、成果全体の最大化を目指す

学習エージェント

経験(報酬やペナルティ)から学び、行動を継続的に改善する

下の段階に位置するほど、エージェントが自律的に行える判断の幅は広く、その水準も高度です。ビジネスで使われるエージェントの多くは「目標ベース型」以上に位置しており、さらに複数の段階の要素を組み合わせた製品も登場しています。

AIエージェントの主要製品

ここでは、ビジネスシーンで注目を集める主要なAIエージェント製品を8つ取り上げ、それぞれの特長と得意領域を解説します。

前述したタイプや業務領域のどこに位置づけられるかを意識すると、自社の用途との相性を見極めやすくなります。

Microsoft Copilot

Microsoft Copilotは、WordやExcel、TeamsなどMicrosoft 365の主要アプリに統合されたAIアシスタントです。法人向けプランのサブスクリプション内に「Microsoft Copilot Studio」が含まれており、このサービスを活用すれば自社の業務フローに沿ったエージェントを手軽に構築できます。

自然言語でエージェントを構築できるため、プログラミングやAIの専門知識は必要ありません。財務諸表の管理や採用・営業業務の代行など、多様なエージェントを作成できることもメリットです。

Gemini Enterprise

業務ツールをまたいでAIエージェントを活用・構築できる、Googleのエンタープライズ向けプラットフォームです。Google WorkspaceやMicrosoft 365など複数のビジネスツールと接続し、リサーチエージェント「Deep Research」をはじめとするGoogle製エージェントをすぐに利用できます。

ノーコードで独自エージェントを作成できるほか、全エージェントの権限・監査管理をプラットフォーム上で一元管理できます。Google Workspaceを前提としないため、既存のIT環境を問わず導入できる点が特長です。

Claude Code / Claude Cowork

Anthropicが提供する、開発者向けと一般業務向け2種類のエージェント型ツールです。「Claude Code」は、指示を出すだけでコードの生成から修正、テストまでを自律的に完結させます。

一方、デスクトップ向けの「Claude Cowork」は、ファイル操作やタスク管理といった業務の自動化を担います。どちらもAI自身が目標から計画を立て、複雑な手順を自走して実行できる点が特長です。

Agentforce

顧客管理(CRM)の最大手であるSalesforce上で稼働する、自律型のAIエージェントです。顧客からの問い合わせ内容を判断し、最新データをもとに「メール送信」「スケジュール調整」「次回アクションの提案」といった対応を自律的に実行します。

さらに、ノーコードツール「Agent Builder」を使えば、営業や顧客対応に特化したエージェントを現場で迅速に構築できます。SalesforceのCRMデータと直接連携するため、既存の顧客管理環境をそのまま活かして業務自動化を進められる点が大きな強みです。

Dify

プログラミングの知識がなくても、AIアプリやエージェントを構築できる開発プラットフォームです。社内ドキュメントを読み込ませたFAQシステムや、複数の外部ツールと連携するワークフローの自動化など、幅広い用途に対応します。

ドラッグ&ドロップの直感的な操作で構築・改善できるため、エンジニアでない現場担当者でも自社に合ったエージェントを育てやすい点が強みです。カスタム構築型の代表格として、多くの企業に採用されています。

Perplexity

Perplexityは、AI検索に強みを持つツールです。「Deep Research」「Perplexity Computer」という、用途が異なる2つのエージェント機能を搭載しています。「Deep Research」は情報源を自律的に探索しながら検索と推論を繰り返し、専門的な調査レポートをわずか数分で完成させます。

「Perplexity Computer」は、複雑なタスクを自律的に分解し、複数のAIモデルへ並行して処理を割り当てるエージェント機能です。調査・文書作成・データ処理を担うサブエージェントが並行して稼働し、人が工程を管理しなくても成果物まで自動で完結します。

Genspark

Gensparkは、情報の検索や調査にとどまらず、資料作成やデータ分析、さらにはタスクの実行までを1つで完結できるオールインワン型のAIワークスペースです。ユーザーが最終的な目的を伝えるだけで、最適な成果物を作り出す「スーパーエージェント」機能を備えています。

裏側では複数の高性能AIモデルや各種ツールが連携しており、指示に応じてプレゼンスライドや集計表などを自動で作成します。法人向けプランの公式販売も始まったことで、国内企業での導入が進んでいるAIエージェントです。

Boomi

社内に点在する多様なシステムやデータを安全につなぐ、iPaaS(クラウド型のシステム連携)プラットフォームです。プラットフォーム内では、ドキュメント作成やデータプライバシー監視、設計支援など、複数のAIエージェントが提供されています。

AIエージェントの構築・運用を担う「Boomi Agentstudio」も搭載しており、以下の機能を利用できます。

  • ノーコード・ローコードでのAIエージェント作成

  • 社内外のシステムをまたいだデータ処理・業務フローの自動化

  • 複数エージェントの統合によるタスクの効率的な実行

複雑なシステム環境を抱える企業がAIエージェントを本格活用するうえで、有力な基盤となるプラットフォームです。 

自社に合うAIエージェントの種類・製品の選び方

製品ごとの違いを押さえたら、次は自社に合うものをどう選ぶかです。

ここでは、種類や製品を比較する際に確認したい4つの観点を紹介します。

解決したい課題・対象業務をカバーできるか確認する

最初に確認すべきは、解決したい課題や対象業務を、その製品が実際にカバーできるかどうかです。資料作成や顧客対応など、改善したい業務や負担の大きい箇所を洗い出し、それに直結する機能が備わっているかを照らし合わせます。

あわせて、業務範囲に適しているかを見極めることも大切です。特定の作業だけを任せたい場合はシンプルな専用ツール、業務全体を連携させたい場合は多機能なプラットフォームを選ぶことで、無駄な投資を抑えられます。自社の業務範囲と製品の機能が適切に重なるものを選ぶことで、コストと効果を最大化しやすくなります。

既存システム・外部ツールとの連携可否を確認する

既存システムや外部ツールとの連携可否は、導入後の使い勝手に直結する要素です。既存の顧客情報管理システム(CRM)や営業支援システム(SFA)とエージェントが連携できれば、顧客情報や案件データを活用でき、回答の精度や利便性が大きく向上します。

また、確認の際は「連携したデータを、AIがどこまで文脈を踏まえて深く活用できるか」の視点も欠かせません。深く活用できるツールであれば、分析や提案の精度も高まり、ビジネス成果にもつながります。

セキュリティ・信頼性の水準を確認する

機密情報や個人情報の漏えいを防ぐためにも、ツールのセキュリティと信頼性の水準は必ず確認しましょう。通信の暗号化やアクセス制御、操作の記録(ログ)管理といった機能が十分に備わっているかは外せない要素です。

加えて、入力したデータがAIの追加学習に使われないか、データが安全な場所に保管されるかといった項目の確認も必須です。また、ツールや開発元そのものの信頼性については、国際的なセキュリティ基準(ISO 27001・SOC 2など)を取得しているかを指標にするとスムーズに判断できます。

使いやすさ・サポート体制を確認する

現場で使われ続けるかどうかは、使いやすさとサポート体制で決まります。操作画面が直感的か、専門知識がなくても扱えるかといった点を確認しましょう。確認にあたっては、無料プランやトライアルなどを活用するとよいでしょう。

サポート面では、トラブル対応の速さや窓口の対応時間、日本語サポートの有無の確認が重要です。加えて、導入後の活用方法の助言など、運用が軌道に乗るまで伴走してくれる体制があるかどうかもチェックすれば、より良いパートナーを見つけられます。

AIエージェントの導入前に知っておきたいリスク

AIエージェントは大きな効果をもたらす一方で、自律的に動くからこその固有のリスクも抱えています。

導入を成功させるには、利点だけでなくリスクも事前に理解しておくことが欠かせません。

自律行動が大きなトラブルを引き起こす可能性がある

AIエージェント最大のリスクは、自律的な行動が想定外の大きなトラブルにつながる点です。従来のAIと違い、自ら目標を設定して外部システムへの指示やファイル操作まで実行するため、誤作動したときに大きな影響が出ます

例えば、効率を優先するあまり、人の承認なしに「不要なファイルを削除する」と解釈し、重要なデータベースを初期化してしまうケースも十分に考えられます。また、指示が曖昧な状態で稼働させると、同じエラーを延々と繰り返す「無限ループ」に陥り、利用枠を使い切ってしまうケースも少なくありません。

ツール・設定によっては情報漏えいリスクが伴う

利用規約や設定の見落としは、情報漏えいに直結します。学習データへの利用許可などを確認しないまま使うと、入力した機密情報がAIの学習に使われ、意図しない外部流出を招きかねません

また、アクセス権限の設定に不備があれば、AIエージェントが本来触れるべきでない情報を読み取り、外部へ送信してしまう危険もあります。さらに、サーバーや運営拠点が海外にある場合、現地の法律に基づいて公的機関からデータの開示を求められるリスクも潜んでいます。そのため、導入前の入念な確認が不可欠です。

参考:クラウドサービス利用・提供における適切な設定のためのガイドライン

ハルシネーション・AI過信による誤情報の発信や決断ミス

ハルシネーションとは、AIが事実とは異なる情報を、もっともらしい体裁で生成してしまう現象です。AIエージェントはこの誤りを含んだまま、調べた内容をレポートにまとめたり、次の行動の判断材料にしたりする可能性があります。

そのため、人の目によるチェックを怠ると、誤情報の発信や重大な意思決定ミスへと発展するリスクがあります。社会的信用の失墜や多額の損失などを招く可能性があるため、情報の扱いには十分な注意が必要です。

サイバー攻撃の標的になるリスク

AIエージェントは、サイバー攻撃の新たな標的としても狙われています。特に警戒すべきなのが、エージェントが読み込む外部データに罠を仕掛け、不正な操作を実行させる「間接プロンプトインジェクション」と呼ばれる手口です。

例えば、Webページや受信メールにあらかじめ悪意ある隠し指示を仕込んでおくことで、AIを騙して勝手にファイルを削除させたり、機密情報を外部へ送信させたりします。このように、外部のコンテンツを経由してAIが意図しない行動を取らされる被害は、すでに実際の事例としても報告されており、今後の運用において厳重な警戒が必要です。

AIエージェントの運用リスクに対する具体的な対策

前述したリスクは、適切な対策を講じることで大きく抑えられます。

ここでは、AIエージェントを安全に運用するための具体的な対策を紹介します。

最小権限の原則を徹底する

対策の出発点は「最小権限の原則」の徹底です。これは、エージェントごとに業務の遂行に必要な最低限のデータアクセス権限と操作範囲だけを与え、過剰な権限を持たせない考え方を指します。

役割に応じてアクセス権を厳格に管理しておけば、万一エージェントが攻撃を受けても、情報漏えいや不正操作の被害を最小限に食い止められます。あわせて、権限の棚卸しを定期的に行い、業務上不要になった権限やアカウントを見直して削除していく運用も欠かせません。

出力を人が確認するプロセスを設ける

AIエージェントの判断を完全に任せきりにせず、重要な操作の前に必ず人が承認・確認するプロセスを設けることが不可欠です。この「人が間に入って確認する」仕組みは、ヒューマン・イン・ザ・ループと呼ばれます。

生成物のチェックを徹底すれば、意図しないシステム操作や誤情報の拡散、著作権の侵害などを未然に防げます。AIの処理スピードを活かしつつ致命的なトラブルを回避するためにも、確認を前提とした業務フローを構築することが重要です。

利用ルールとエスカレーションフローを整備する

技術的な対策と並んで重要なのが、組織としての運用ルールの整備です。利用できる業務範囲や機密情報の入力禁止、チェックの徹底などをルールとして定め、全従業員に周知します。

あわせて、セキュリティ事故やAIの重大な誤作動が起きた際の報告ルートと対応体制(エスカレーションフロー)を、事前に明文化しておくことが大切です。加えて、定期的な研修や対応訓練を通じて現場の対応力を高めておけば、よりインシデントに強い体制を構築できます。

【関連記事】組織を守るセキュリティ教育の実践ガイド|必要性・手法・進め方を解説

AIエージェント利用を想定したセキュリティ対策を講じる

運用リスクを低減するには、AIエージェントの特性を踏まえたセキュリティ対策も欠かせません。まず、エージェントが外部から受け取るデータに悪意ある指示が紛れ込んでいないかをチェックする仕組みを設けると、不正な操作を事前に防ぎやすくなります。

エージェントの動作環境については、本格導入前にテスト環境で動かし、想定外の操作や意図しない情報アクセスが発生しないかを確認することが重要です。加えて、エージェントの動きをリアルタイムで把握・制御できる監視体制も整えておくと、問題が起きても迅速に対処できます。

「Nenoa」なら社内ネットワーク完結で安全なAI活用を実現

AIエージェントを運用する上で、最も確実なリスク対策は「機密データを外部に出さない環境」を作ることです。これを仕組みのレベルで実現し、安全なAI活用を可能にするのが、社内ネットワーク完結型のAI専用端末「Nenoa(ネノア)」です。

  • 情報漏えいリスクを根本から遮断: データが社外ネットワークに一切出ない構造設計のため、一般的なクラウド型AIで懸念されるデータの外部流出や、サイバー攻撃による情報漏えいリスクを物理的に防ぎます。

  • 導入の手間やインフラの不安を解消: デスクに置ける小型端末のため大がかりな設備は不要です。電源と社内ネットワークを接続するだけで、安全なAI環境をすぐに構築できます。

  • 安心の月額固定・使い放題: サブスクリプション型のため初期費用を抑えられます。利用量によるコスト変動や制限もなく、予算管理も容易です。

「AIエージェントや生成AIを活用したいが、セキュリティや運用のリスクが不安」という企業様に最適なソリューションです。

自社に最適なAIエージェントの導入と体制整備が生産性を最大化する

AIエージェントには汎用型・特化型・マルチエージェント型など、さまざまな種類があります。コーディングやリサーチ、営業支援など、得意とする領域も製品ごとに異なります。

重要なのは、解決したい課題から逆算した選定と、安全かつ効果的に運用する環境の構築です。両者を確実に実施することで、トラブルを防ぎつつ、AIエージェントのメリットを享受できます。

正しく選び、安全に使いこなすことが、AIエージェントを組織の真の戦力にする第一歩です。

TDCソフトの閉域網で利用できる社内AI「Nenoa」は、社内ネットワーク内で安全に生成AIを活用したい企業向けのソリューションです。自社のセキュリティ要件に合ったAI活用環境をお探しの方は、Nenoaの詳細もご確認ください。 

お問い合わせ