情報漏洩対策の完全ガイド|企業の担当者が行うべき具体策と進め方

「自社の情報漏洩対策、何から手をつければ良いのかわからない」
「経営層に説明できるような、網羅的で信頼できる情報がほしい」

近年、情報漏洩に関するニュースが後を絶たず、多くの中小企業の担当者の方が漠然とした不安を抱えています。
専門知識がなくても、企業の重要な情報資産を守る責任は日に日に重くなっている状況です。

しかし、情報漏洩対策は、正しい手順で一つひとつ進めれば決して難しいものではありません。

本記事では、情報漏洩がなぜ起こるのかといった根本的な原因から、企業が具体的に何をすべきかといった実践的な対策までを5つのステップに沿って体系的に解説します。
最後までお読みいただければ、自社で取り組むべき対策の全体像が明確になり、経営層に自信を持って説明できる行動計画を立てられます。

 

 

情報漏洩対策の重要性|企業の未来を揺るがす3つのリスク

情報漏洩対策は、もはや単なるIT部門の仕事ではありません。
企業の存続を左右する、重要な経営課題です。

ひとたび情報漏洩が発生すると、影響は金銭的な損失にとどまらず、企業の社会的信用やブランドイメージを根底から覆しかねません。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表する「情報セキュリティ10大脅威」では、毎年「ランサムウェアによる被害」や「内部不正による情報漏洩」などが上位にランクインしており、脅威が常に私たちの身近に存在する事実が示されています。

こうした状況を受けて、IPAでは「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」を公開し、ITを利活用している中小企業が情報セキュリティ対策に取り組み、経済社会全体のサイバーリスク低減を図ることを目指している状況です。

ここからは、情報漏洩が企業にもたらす具体的な3つのリスクについて解説します。

参考:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2025」
IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」

リスク1:法的責任と高額な損害賠償

情報漏洩は、法的な責任問題に直結します。
特に個人情報が漏洩した場合、個人情報保護法に基づき、国からの勧告や命令、罰金が科されます。

さらに深刻なのが、被害者からの損害賠償請求です。
過去の事例では、一人あたり数万円の賠償額になるケースも珍しくなく、漏洩した人数によっては賠償金が数億円規模に膨れ上がることもあります。

漏洩した個人情報の種類 想定される1人あたりの賠償額の目安 1万人漏洩した場合の賠償額
氏名、住所、電話番号など 5,000円〜10,000円 5,000万円〜1億円
クレジットカード情報 20,000円〜50,000円 2億円〜5億円
機微な情報(病歴など) 30,000円〜100,000円 3億円〜10億円

上表の金額はあくまでも大まかな目安です。
高額な賠償金は、中小企業にとって致命的な打撃となり得ます。

リスク2:事業停止に追い込まれる経済的損失

情報漏洩による金銭的ダメージは、損害賠償だけではありません。
事業の継続を困難にする、さまざまな経済的損失が発生します。

例えば、原因調査やシステムの復旧には、外部の専門家への依頼費用などで多額のコストがかかります。また、顧客への対応窓口の設置や見舞金の支払い、信頼回復のための広告宣伝費なども必要です。

さらに、システムが停止すれば、その間の売上はゼロになり、大きな機会損失を生みます。これらの経済的損失が積み重なり、最悪の場合、事業の継続が不可能になるケースも想定されます。

 

【直接的なコスト】
原因調査費用、システム復旧費用、弁護士費用、コールセンター設置費用、お詫び状の郵送費、見舞金など

【間接的なコスト】
事業停止による売上減少、機会損失、株価下落、ブランドイメージの低下による将来的な売上減など

 

コストは多岐にわたり、総額では損害賠償額を上回ることも少なくありません。

 

リスク3:一度失うと取り戻せない社会的信用

情報漏洩がもたらす深刻なダメージは、お金では測れない社会的信用の失墜です。
「あの企業は情報をきちんと管理できない」といった評判が広まれば、顧客は次々と離れていきかねません。

また、取引先企業も、自社の情報が漏洩するリスクを恐れて取引を停止する可能性があります。一度失った信用を取り戻すのは非常に困難であり、長い年月と多大な努力を要します。

信用回復には、積極的な情報公開やセキュリティ対策の強化、再発防止策の徹底など、具体的な行動が必要です。たとえシステムが復旧し、賠償金の支払いが終わったとしても、失われた信用が企業の成長を長期にわたって阻害し続けるのです。

したがって、情報漏洩対策とは、重要な資産である信用を守るための活動に他なりません。

情報漏洩対策は、企業全体の最重要課題として位置づけ、継続的に改善していく必要があります。経営層が率先して取り組み、全従業員がセキュリティ意識を高めることが不可欠です。

情報漏洩の3大原因と最新手口

効果的な対策を講じるためには、まず原因を知る必要があります。情報漏洩は、主に3つの原因によって引き起こされます。

「外部からのサイバー攻撃」「従業員による内部不正」、「うっかりミスなどの人的要因」です。自社にはどのリスクが高いのかを把握しておくことが、対策の第一歩です。

 

・外部からのサイバー攻撃
ウイルス感染、ランサムウェア、不正アクセス、標的型攻撃メール、Webサイトの改ざん

・内部不正
現職・元従業員による意図的な情報の持ち出し、悪意あるデータの削除や改ざん

・人的要因(ヒューマンエラー)
メールの誤送信、デバイスの紛失・置き忘れ、書類の誤廃棄、クラウドの設定ミス

 

技術的な脅威だけでなく、組織内部の人間が原因となるケースも非常に多いのが特徴です。各原因と最新手口について、詳しく解説します。

 

外部からのサイバー攻撃|ランサムウェア・標的型攻撃

サイバー攻撃は年々巧妙化・悪質化しており、情報漏洩の大きな原因となっています。攻撃者は企業のネットワークに侵入し、重要な情報を盗み出したり、データを人質に取って金銭を要求したりします。

 

【ランサムウェア】
コンピュータウイルスの一種で、感染するとファイルが暗号化され、使用できなくなります。 攻撃者は、ファイルを元に戻すことと引き換えに、高額な身代金を要求します。

【標的型攻撃メール】
特定の企業や組織を狙い、業務に関係があるかのように装ったメールを送りつけます。 添付ファイルを開いたり、URLをクリックしたりすると、ウイルスに感染して情報を盗まれてしまいます。

【不正アクセス】
推測されやすいパスワードや、システムの脆弱性(セキュリティ上の弱点)を突いて、サーバーやクラウドサービスに不正にログインします。 ログインされると、内部の情報を自由に閲覧・窃取されてしまいます。

 

近年では、AIを悪用して本物と見分けがつかないような巧妙な詐欺メールを作成するなど、手口がさらに進化しています。

従業員による内部不正|意図的な情報の持ち出し・漏洩

外部からの攻撃と同じくらい警戒すべきなのが、組織内部の人間による不正行為です。正規の権限を持つ従業員による犯行は、検知が非常に難しい点に特徴があります。

 

【機密情報の持ち出し】
退職間際の従業員が、転職先で利用するために顧客リストや技術情報などをUSBメモリや個人用クラウドにコピーして持ち出すケースです。

【悪意ある情報漏洩】
企業に不満を持つ従業員が、腹いせに機密情報を競合他社やインターネット上に暴露するケースです。

 

動機は金銭目的や私的な恨みなどさまざまですが、組織に与えるダメージは計り知れません。内部不正を防ぐには、技術的な対策だけでなく、従業員の労務管理やコミュニケーションも重要です。

 

うっかりミスの人的要因|メール誤送信・デバイス紛失

情報漏洩の中でも頻繁に発生するのが、うっかりミスに起因する人的要因です。悪意がないからこそ、誰にでも起こりうるリスクと言えます。

よく起こるミスの種類と詳細は以下の通りです。

 

【メール・FAXの誤送信】
宛先を間違えて、本来送るべきではない相手に機密情報を含んだメールを送ってしまうケースです。 CCやBCCの設定ミスも頻繁に起こります。

【デバイスや書類の紛失・置き忘れ】
業務用のノートPCやスマートフォン、顧客情報が記載された書類などを、電車やカフェに置き忘れてしまうケースです。

【クラウドサービスの設定ミス】
Google DriveやDropboxなどの共有設定を誤り、リンクを知っている全員が閲覧できる状態で機密情報を保存してしまうケースです。

 

上記のミスは日々の業務に潜んでおり、少しの気の緩みが重大な事故につながる可能性があります。

 

情報漏洩対策の進め方【5つの基本ステップ】

「何から始めれば良いのかわからない」とお悩みの担当者の方のために、情報漏洩対策を体系的に進めるための5つの基本ステップを紹介します。手順に沿って進めることで、抜け漏れなく、効率的に自社のセキュリティを強化できます。

  1. 自社の情報資産とリスクを洗い出す

  2. 守るべき情報と対策の優先順位を決める

  3. 情報セキュリティポリシーを策定する

  4. 技術・組織・人の観点で対策を実施する

  5. 定期的な見直しと教育で形骸化を防ぐ

各ステップについて、詳しく解説します。

1.自社の情報資産とリスクを洗い出す

対策の第一歩は、自分たちが何を守るべきなのかを正確に把握するステップです。社内にどのような「情報資産」が存在し、それが「どこに」「どのように」保管され、「誰が」利用しているのかをリストアップします。

情報資産の種類 具体例 保管場所の例

顧客情報

氏名、住所、連絡先、購買履歴、クレジットカード情報

販売管理システム、Excelファイル、紙の帳票

従業員情報

氏名、住所、マイナンバー、給与情報、人事評価

人事給与システム、サーバー内のファイル

技術情報

設計図、ソースコード、製造ノウハウ、研究データ

ファイルサーバー、個人のPC、CADシステム

財務情報

決算書、売上データ、経営計画

会計システム、経営会議資料

洗い出しを通じて、情報がどこにあるのか、紛失や盗難、不正アクセスのリスクがどこに潜んでいるのかを可視化します。

2.守るべき情報と対策の優先順位を決める

すべての情報資産を同じレベルで守ることは、コスト面から見て現実的ではありません。洗い出した情報資産について、「漏洩した場合のインパクト(影響度)」と「漏洩が発生する可能性(発生可能性)」の2つの軸で評価し、対策の優先順位を決定します。

例えば、クレジットカード情報やマイナンバーは、漏洩した場合のインパクトが非常に大きいため、最優先で対策を講じるべき情報資産です。優先順位を付けることで、限られた予算と人員を重要な対策に集中させられます。

以下に、対策の具体例をまとめました。

優先順位 守るべき情報と具体的な対策

最優先

クレジットカード情報、マイナンバーなどの個人情報。暗号化、アクセス制限、多要素認証、厳重な監視体制などを導入。

高優先

顧客データベース、営業秘密などの重要情報。アクセスログの監視、定期的な脆弱性診断、従業員へのセキュリティ教育などを実施。

中優先

社内文書、業務システムなどの情報。アクセス権限の設定、バックアップ体制の整備、ウイルス対策ソフトの導入などを検討。

低優先

公開情報、ログデータなどの情報。必要に応じてアクセス制限やバックアップを実施。

情報資産の価値やリスクは常に変化するため、優先順位は定期的に見直す必要があります。新しい脅威や技術の登場、法規制の変更などを考慮し、最新の状況に合わせて対策を更新していくことが重要です。

3.情報セキュリティポリシーを策定する

対策の方向性が決まったら、全従業員が守るべき統一のルールブック、すなわち情報セキュリティポリシーを策定します。情報漏洩対策における憲法のようなものです。

ポリシーに盛り込むべき主要項目 内容の例

基本方針

企業として情報セキュリティにどう取り組むかの宣言

適用範囲

ポリシーが適用される役員、従業員、情報資産の範囲

推進体制

情報セキュリティ責任者や委員会の役割と責任

対策基準

パスワード管理、ウイルス対策、情報の持ち出しなど、具体的な対策のルール

罰則規定

ポリシーに違反した場合の処分

難しく考える必要はありません。まずは基本的なルールを定め、全社で共有しましょう。

4.技術・組織・人の観点で対策を実施する

策定したポリシーに基づき、具体的な対策を実行に移します。対策を技術・組織・人の3つの観点からバランス良く実施しましょう。

  • 技術的対策:ITツールやシステムで脅威を防ぐ

  • 組織的対策:ルールや体制で情報を管理する

  • 人的対策:教育や啓発で従業員の意識を高める

どれか一つの観点だけでは不十分です。例えば、最新のセキュリティソフトを導入しても、従業員がパスワードを付箋に書いてPCに貼っていては意味がありません。3つの対策を組み合わせることで、多層的な防御が可能です。

5.定期的な見直しと教育で形骸化を防ぐ

情報セキュリティポリシーや対策は、一度作ったら終わりではありません。サイバー攻撃の手口は日々進化しており、ビジネス環境も変化します。

以下のようなPDCAサイクルを回し続けることで、対策が形骸化するのを防ぎ、常に実効性のあるセキュリティレベルを維持できます。

  • 定期的な監査:ルールがきちんと守られているか、年に1回程度チェックする

  • 対策の見直し:新しい脅威や事業の変化に合わせて、ポリシーや対策をアップデートする

  • 継続的な教育:従業員の意識が低下しないよう、定期的に研修や注意喚起を行う

今すぐ実践できる情報漏洩対策9選【技術・組織・人別】

前章のステップ4で触れた具体的な対策について、「技術」「組織」「人」の3つの観点から、中小企業でも取り組みやすい9つの基本的な対策を厳選して紹介します。

対策の分類 具体的な対策項目

技術的対策

1. 認証強化(多要素認証・パスワードポリシー)
2. エンドポイントセキュリティ(ウイルス対策ソフト・EDR)
3. ネットワークセキュリティ(ファイアウォール・VPN)
4. データ保護(アクセス制御・暗号化)
5. 脆弱性管理(OS・ソフトウェアのアップデート)

組織的対策

6. 情報資産の管理と物理的セキュリティ
7. 外部委託先・サプライチェーンの管理体制構築

人的対策

8. 定期的な情報セキュリティ教育・訓練
9. 入退社時の手続き徹底と秘密保持契約(NDA)

自社の現状と照らし合わせながら、どこから手をつけるべきか検討してみてください。

技術的対策:システムの穴を塞ぎ不正アクセスを防ぐ

技術的対策は、ITシステムを活用してサイバー攻撃や不正なアクセスを機械的に防ぐためのものです。セキュリティの土台となる重要な対策です。

認証強化(多要素認証・パスワードポリシー)

不正アクセスの多くは、IDとパスワードの漏洩や使い回しが原因です。防ぐためには、以下のような対策で認証自体を強化する必要があります。

 

・パスワードポリシーの策定
「英大文字・小文字・数字・記号を組み合わせ、10桁以上にする」 「定期的に変更する」「他のサービスと使い回さない」といったルールを定め、従業員に徹底させます。

・多要素認証(MFA)の導入
ID/パスワードに加えて、スマートフォンアプリへの通知やSMSコードなど、複数の要素を組み合わせないとログインできない仕組みです。万が一パスワードが漏洩しても、不正ログインを大幅に防げます。

 

エンドポイントセキュリティ(ウイルス対策ソフト・EDR)

従業員が使用するPCやスマートフォンなどの端末(エンドポイント)は、ウイルスの侵入口となりやすい場所です。以下のような対策で、エンドポイントを強固に守ることが重要です。

 

・ウイルス対策ソフトの導入
すべての業務用端末に導入し、定義ファイルを常に最新の状態に保つことを徹底します。

・EDR(Endpoint Detection and Response)の検討
従来のウイルス対策ソフトでは検知できない未知の脅威に対し、端末の不審な挙動を監視して攻撃の兆候を検知・対応する仕組みです。より高度なセキュリティを目指す場合に有効です。

 

ネットワークセキュリティ(ファイアウォール・VPN)

社内ネットワークの出入り口を監視して不正な通信を遮断し、外部からの攻撃を防ぎます。具体的な対策は、以下の通りです。

 

・ファイアウォールの設置
社内ネットワークとインターネットの境界に設置し、許可されていない通信をブロックする壁の役割を果たします。

・VPN(Virtual Private Network)の利用
外出先や自宅から社内ネットワークにアクセスする際に、通信を暗号化して安全な経路を確保する技術です。テレワークを導入している企業には必須の対策です。

 

データ保護(アクセス制御・暗号化)

万が一ネットワーク内部に侵入されたとしても、情報が盗まれたり、読み取られたりするのを防ぐ最後の砦です。以下に、具体的な対策を示しました。

 

・アクセス制御の徹底
「最小権限の原則」に基づき、従業員には業務上必要最低限のデータにしかアクセスできないように権限を設定します。

・データの暗号化
顧客情報や機密情報などの重要なファイルは、保存する際やメールで送信する際に暗号化します。もしファイルが流出しても、パスワードを知らない第三者は中身を閲覧できません。

 

脆弱性管理(OS・ソフトウェアのアップデート)

OSやソフトウェアに存在するセキュリティ上の弱点(脆弱性)は、サイバー攻撃の格好の標的です。放置すれば、玄関の鍵を開けっ放しにするのと同じくらい危険であることを認識しておきましょう。

具体的な対策は、以下の通りです。

 

・速やかなアップデートの適用
Windows UpdateやAdobe、Javaなどのソフトウェアの更新プログラムが提供されたら、速やかに適用する運用ルールを徹底します。

・パッチ管理ツールの活用
社内のPCのアップデート状況を一元管理し、適用漏れを防ぐツールを導入するのも有効です。

 

組織的対策:ルールと体制で情報を守る

組織的対策は、社内のルールや管理体制を整備し、情報が適切に取り扱われる環境を作るためのものです。

情報資産の管理と物理的セキュリティ(入退室管理・施錠)

以下のような対策で、デジタル情報だけでなく紙媒体の書類やサーバー機器などの物理的な資産を守ることも重要です。

 

・情報資産管理台帳の作成
重要な情報資産(データ、書類、サーバーなど)をリスト化し、保管場所や管理責任者を明確にします。

・クリアデスク・クリアスクリーン
離席時には書類を机の上に放置せず、PC画面をロックする意識を徹底します。

・物理的なアクセス制限
サーバー室や重要書類の保管庫は施錠管理し、入退室記録を取ります。

・監視カメラの設置
オフィスの出入り口や重要なエリアに設置し、不正な侵入や持ち出しを抑止します。


上記の対策は、内部不正の抑止にもつながります。

 

外部委託先・サプライチェーンの管理体制構築

自社のセキュリティ対策が万全でも、取引のある委託先や子会社が狙われ、経由して情報が漏洩する「サプライチェーン攻撃」が増加しています。以下のような対策を講じるのが有効です。

 

・委託先選定時のセキュリティチェック
新規に業務を委託する際は、相手方のセキュリティ対策状況を確認するチェックリストを用意します。

・契約書へのセキュリティ条項の盛り込み
業務委託契約書に、情報漏洩時の責任の所在や遵守すべきセキュリティ対策について明記します。

・定期的な監査
重要な情報を扱う委託先に対しては、定期的にセキュリティ対策の実施状況を確認します。

 

自社だけでなく、ビジネスに関わるすべての組織と連携してセキュリティレベルを向上させていく視点が求められます。

人的対策:従業員のセキュリティ意識を高める

情報漏洩対策において、特に重要かつ難しいのが人への対策です。全従業員のセキュリティ意識を高いレベルで維持していくことが、ヒューマンエラーや内部不正を防ぐ鍵です。

定期的な情報セキュリティ教育・訓練

従業員一人ひとりが「自分も情報漏洩の原因になり得る」といった当事者意識を持つことが重要です。以下に、具体的な対策を示しました。

 

・全従業員向けの研修
情報セキュリティポリシーの内容や具体的なリスク(標的型メールの見分け方など)について、年に1回以上は研修を実施します。

・標的型攻撃メール訓練
訓練用の偽の攻撃メールを従業員に送り、開封してしまった従業員にその場で注意喚起と教育を行う、実践的な訓練です。

・役割に応じた教育
経営層や管理者、一般社員など、各々の役割に応じた内容の教育を行うことで、より効果を高めます。

入退社時の手続き徹底と秘密保持契約(NDA)

従業員のライフサイクルの節目において情報管理の手続きを徹底していくことが、内部不正などのリスクを低減します。具体的な対策は、以下の通りです。

 

・入社時の手続き
すべての従業員と秘密保持契約(NDA)を締結し、在職中および退職後の守秘義務について明確に合意します。情報セキュリティポリシーに関する研修を実施し、理解度を確認します。

・退社時の手続き
退職日までに、貸与していたPCやスマートフォン、入館証などをすべて返却させましょう。社内システムやクラウドサービスのアカウントを確実に削除します。秘密保持義務が退職後も継続する旨を、改めて書面で確認します。

TDCソフトによる高度な情報漏洩対策サービス

基本的な対策を実施した上で、さらにセキュリティレベルを向上させたい、あるいは専門家の知見を借りたいと考えるケースも多くあります。

私たちTDCソフトは、60年以上にわたる独立系SIerとしての歴史の中で、セキュリティ要件の厳しい金融業界をはじめ、多くのお客様の情報システムを支えてまいりました。豊富な経験と実績を活かし、お客様の事業内容や規模、現状の課題に合わせた最適なセキュリティソリューションを提供します。

以下に、弊社が提供しているセキュリティサービスの代表的な事例をまとめました。

お客様 抱えていた課題 提供サービス 具体的な支援内容
エネルギー企業 マネージャー層がセキュリティ対策の実態を把握できず、次のアクションの判断ができない。 セキュリティアセスメント セキュリティ運用担当者へのヒアリングを経て、計画と実態の分析を行い、リスクの可視化と優先的に実施すべきセキュリティ対策を提言。
エネルギー企業 インシデント発生時の対応を特定の担当者の知見に頼っているため、担当者不在時に対応できない。 セキュリティ対策強化支援 インシデントレベルの判断基準や手順を明確にし、インシデント発生時の対応手順におけるマネージメント層、経営層との合意形成を支援。
運送事業者 セキュリティ業務全般を外部にアウトソースし、自社内にセキュリティのスペシャリストがいないため、有事の際の対応力が弱い。 セキュリティ人材育成 攻撃者の視点を理解する目的で、ペネトレーションテストのトレーニングをOJT形式で支援。さらに、自社システムのペネトレーションテストの内製化を支援。
信託銀行 PC/サーバーで脆弱性対応が分割されており、チーム間のノウハウやナレッジが共有できていない。 ゼロトラスト 脆弱性を一元管理し、組織全体の脆弱性対応のスピード向上およびナレッジ化による対応工数削減を支援。
運送事業者 メールセキュリティについて、特定の熟練担当者のスキルで分析作業を実施している状況。また、人手も足りていない。 監視業務(SOC)構築・運用支援 熟練担当者が担当している作業を分析し、作業フローを作成。BIツールを導入し、複数の担当者で業務を分担できるように手順を整備。自動化できる部分については、別途自動化プログラムを提供。

お客様のパートナーとして、単なる製品導入に留まらず、ビジネスに深く寄り添い、真の課題解決に貢献する伴走型の支援をお約束します。情報漏洩対策に関するお悩みは、ぜひ一度TDCソフトにご相談ください。

まとめ:継続的な情報漏洩対策で会社を守る

本記事では、情報漏洩のリスクから原因、具体的な対策の進め方と実践項目までを網羅的に解説しました。

情報漏洩対策は、一度きりのイベントではありません。サイバー攻撃の手口は常に進化し、ビジネス環境も変化し続けます。

大切なのは、自社の状況に合わせて計画を立て(Plan)、実行し(Do)、結果を評価し(Check)、改善していく(Action)といったPDCAサイクルを粘り強く回し続けることだと言えます。

情報漏洩対策は、コストではなく、企業の未来を守るための投資です。それはIT部門だけが担うものではなく、経営層から全従業員に至るまで、組織全体で取り組むべき経営課題です。

まずは本記事で紹介した5つの基本ステップの第一歩、自社の情報資産とリスクを洗い出すことから始めてみてはいかがでしょうか。小さな一歩が、企業の未来を大きな脅威から守るための確かな礎となるはずです。

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