UI/UXとは?意味や違い、基本的な考え方と改善方法を解説

業務用システムやアプリの開発に際し、UIやUXといった用語はよく耳にするかと思います。

いずれもユーザーのデジタル体験の質を左右する、非常に身近な概念です。
その重要性はビジネスの世界でますます高まっています。

しかし、「UIやUXの意味や違いがよくわからない」と感じている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、UIやUXの基本的な意味や考え方、改善方法について解説します。
より良いシステムやアプリをデザインするうえで重要な知識をお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

UI/UXの基本

UI/UXは、日常的に利用するスマートフォンアプリやWebサイトの使いやすさの裏側にある設計思想です。
これらの言葉が注目される背景には、製品やサービスの機能だけでなく、実際に使うことで得られる「体験の価値」が重視されるようになった時代の変化があります。

まずは、それぞれの言葉が具体的に何を指しているのか、基本から確認しましょう。

UIとは

UIとは「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略です。

これは、ユーザーと製品・サービスとの「接点」となる、すべての要素を指します。
つまり、Webサイトやアプリを使うときに見たり、触れたりする部分のことです。

UIの具体例は以下のとおりです。

UIの具体例 説明
レイアウト 写真や文章がどこに配置されているかといった、画面全体の構成。
テキスト 記事の文字フォント、サイズ、色など、読みやすさに直結する要素。
アイコン アイコン ホーム画面に戻る家のマークなど、機能を直感的に伝える視覚的な記号。
Webサイトのボタン 「購入する」や「次へ」といった、ユーザーが操作するボタンのデザインや配置。

優れたUIデザインは、ユーザーが迷うことなく、直感的に操作できることを目指します。
見た目の美しさだけでなく、機能性や使いやすさを追求することがUIの重要な役割です。

UXとは

UXとは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略です。
これは、ユーザーが特定の製品やサービスを通じて得られる「すべての体験」を指します。

UIが「接点」を意味する部分的な要素であるのに対し、UXはより広範で、感情や満足度までを含む総合的な概念です。

例えば、あるECサイトを利用する一連の流れを考えてみましょう。

ステージ 説明
サイト訪問前 SNS広告を見て「素敵な商品がありそう」と期待する。
サイト訪問中 商品が探しやすい。説明が分かりやすく、購入ボタンもすぐ見つかる。
購入手続き 入力フォームがシンプルで、ストレスなく決済が完了する。
商品到着後 梱包が丁寧で、商品も期待通りだった。満足感を得る。
利用後 「またこのサイトで買い物をしたい」といった愛着が湧く。

上記の一連の流れすべてがUXです。
つまり、UXは単なる「使いやすさ」だけでなく、「楽しさ」「心地よさ」「感動」といったユーザーの心に残る体験全体をデザインすることを目指します。

UIとUXの関係性

UIとUXは密接に関連していますが、その関係は「手段」と「目的」で整理できます。

UIは、優れたUXを実現するための重要な「手段(要素)」の一種です。
対して、UXはUIを含んだ、より大きな「目的(ゴール)」と捉えられます。

どれだけ美しいUIであっても、UXが悪ければ、顧客は満足しません。
逆に、UIが多少洗練されていなくても、サービスの根本的な価値が高ければ、良いUXにつながることもあります。

最高のユーザー体験を創り出すためには、UIとUXの両方を高いレベルで連携させることが不可欠です。

UI/UXデザインの基本的な考え方|ユーザー視点が最優先

UI/UXデザインの基本的な考え方は、「いかにユーザー視点を優先するか」です。

本章では、UI/UXデザインを考えるうえでの、ユーザー視点の重要性について解説します。

UI/UXの理想は「考えさせないこと」

UI/UXデザインにおいて「考えさせないこと」は、重要な原則です。

ユーザーは、Webサイトやアプリを使う際に、操作方法や情報の探し方で迷うことを望んでいません。
できる限り直感的で、迷わず目的を達成できる「考えさせない」デザインが理想です。

例えば、以下の要素は「考えさせない」デザインを実現するうえで重要です。

  • Webサイト全体のナビゲーションがシンプルで迷わない

  • 入力フォームがわかりやすくてエラーが起きにくい

  • ボタンの配置や色、アイコンの意味などが一目で理解できる

これにより、ユーザーはストレスを感じることなく、スムーズに操作を進められます。

UI/UXのデザインを検討するなら、ユーザーが「考えない」で済むように、徹底的にユーザー視点に立ち、情報アーキテクチャ・視覚デザイン・インタラクションデザイン・ナビゲーション・目的達成までの導線を最適化することが重要です。
ユーザビリティテストなどを通じて、デザインの問題点を発見し、改善を繰り返すことで、より使いやすいUI/UXを実現できます。

企業視点ではなくユーザー視点で考える

企業視点ではなく、ユーザー視点で考えることもUI/UXのデザインを検討するうえで不可欠です。

UI/UXデザインにおいて、企業視点に偏ると、売上や効率ばかりを優先し、ユーザーのニーズや使いやすさがおざなりになるリスクがあります。
しかし、ユーザー視点に立つことで、「何を求めているのか」「どのような課題を抱えているのか」を深く理解できます。

ユーザー視点でデザインを検討することは、直感的で使いやすいインターフェースや、ストレスなく目的を達成できるスムーズな体験を実現するうえで重要です。
ユーザーが使いやすいデザインは、ユーザーエンゲージメントが向上し、長期的な顧客ロイヤリティの獲得につながります。

継続的な改善が前提

UI/UXデザインにおいて継続的な改善が重要な理由は主に3点あります。

理由 説明
ユーザーニーズの変化への対応 ユーザーの行動や期待は常に変化します。継続的な改善により、最新のニーズに合わせた最適な体験を提供し続けられます。
ビジネス目標の達成 UI/UXの改善は、コンバージョン率向上・顧客満足度向上など、ビジネス目標達成に直結します。継続的な改善を通して、より効果的なUI/UXを実現できます。
競争優位性の維持 競合他社もUI/UXを改善し続けているため、継続的な改善を怠ると、ユーザー体験で劣り、競争力を失う可能性があります。常に改善することで、常に最適な体験を提供し、競争優位性を保てます。

上記の理由から、UI/UXデザインにおいては、リリース後も継続的に分析・改善を行い、常に最高のユーザー体験を提供することは重要です。

UIとUXがビジネスにおいて重要な理由

UIとUXがビジネスにおいて重要な理由は、以下の3つです。

  • ユーザー満足度とロイヤリティの向上

  • コンバージョン率と売上の改善

  • コスト削減と効率化

それぞれの理由について、順番に解説します。

ユーザー満足度とロイヤリティの向上

UIとUXの改善は、ユーザー満足度とロイヤリティ向上に不可欠です。

直感的で使いやすいUIは、ユーザーが目的をスムーズに達成できるため、ストレスを軽減し満足度を高めます。
例えば、Webサイトのナビゲーションがわかりやすく、情報が見つけやすいほど、ユーザーは快適にサイトを利用できます。

また、優れたUXは、UIの使いやすさに加え、製品やサービス利用全体の体験価値を高める要素です。
ポジティブなUXは、ユーザーの感情的なつながりを生み出し、企業やブランドへの信頼感を醸成します。

結果として、リピート利用や推奨意向が高まり、ロイヤリティ向上につながります。
UI/UX改善は、単なる見た目の変更ではなく、顧客中心の設計思想に基づいた、包括的な取り組みです。

コンバージョン率と売上の改善

コンバージョン率と売上の改善とUI/UXは密接に関連しています。
コンバージョンとは、Webサイトにおける最終的な成果、例えば商品の購入・問い合わせ・会員登録などを指します。

優れたUI/UXは、ユーザーがWebサイトやアプリを直感的かつスムーズに利用できる環境を提供できます。
これにより、ユーザーは目的の情報に容易にアクセスでき、購入や問い合わせといったコンバージョンにいたるまでの負担低減が可能です。

つまり、UI/UXの改善は、ユーザーエクスペリエンス全体を最適化することで、売上向上に貢献する重要な要素です。

例えば、わかりやすいナビゲーション・魅力的なデザイン・迅速なロード時間などを実現すれば、より良いUI・UXを実現し、ユーザーの満足度を向上させます。
満足度の高いユーザーはサイトに長く滞在し、より多くのページを閲覧するため、結果的にコンバージョン率が向上し、売上が増加する可能性が高まります。

コスト削減と効率化

UI/UXの改善は、企業のコスト削減と効率化に大きく貢献する取り組みです。

直感的で使いやすいUI/UXは、ユーザーが迷うことなく目的を達成できるため、操作に関する問い合わせ対応の減少につながります。
これにより、カスタマーサポートの負担が軽減され、人件費などのコスト削減が期待できます。

さらに、UI/UXの最適化は、開発段階での手戻りを減らし、開発期間を短縮できるため、開発コストの削減にも効果的です。
このように、UI/UXへの投資は、長期的に見て企業の利益に貢献する重要な要素です。

UIとUXを改善する5つのメリット

UI/UXに投資し、改善を図る施策は、現状の水準にとどまらず、業務のクオリティや成果をより高いレベルに引き上げるうえで効果が期待できます。
特に以下の点において重要です。

  • ユーザーの離脱率を下げられる

  • 企業のブランドイメージがアップする

  • コンバージョン率が向上する

  • 他社と差別化できる

UI/UXを改善する意義について、あらためて理解を深めましょう。

ユーザーの離脱率を下げられる

Webサイトやアプリが使いにくいと、ユーザーはすぐにストレスを感じて離脱してしまいます。
離脱率の増加は、ビジネス上の大きな機会損失です。

直感的に操作できるUIやスムーズなUXは、ユーザーのストレスを軽減し、目的のページや機能にたどり着くまでサイト内に留まってもらう効果があります。

企業のブランドイメージがアップする

使いやすく、心地よい体験を提供する製品やサービスは、ユーザーにポジティブな印象を与えるものです。
良い体験が積み重なることで、「この会社の製品は信頼できる」「使っていて楽しい」といったブランドへの好意的なイメージが形成されます。

洗練されたUI/UXは、企業の信頼性と価値を高める無形の資産です。

コンバージョン率が向上する

UI/UXの改善は、コンバージョン率向上に非常に効果的です。

直感的な操作性、視覚的なわかりやすさを追求することで、ユーザーはよりスムーズに目的を達成できます。 具体的には、購入ボタンを目立つように配置したり、入力フォームを必要最小限の項目に絞り込んだりするなどの施策が有効です。

UI/UXの改善によって、ユーザーは迷うことなく、ストレスなく行動を起こしやすくなり、結果としてコンバージョン率の向上につながります。

他社と差別化できる

多くの製品やサービスが機能面で似通ってくる現代において、UI/UXは他社との差別化を実現するうえで不可欠な要素です。
同じような機能を持つ製品でも、より使いやすく、より心地よい体験を提供できる方がユーザーに選ばれます。

優れたUI/UXは、価格競争から抜け出し、独自の価値で市場をリードするための強力な武器です。
Webサイトから差別化を図ることで、自社のブランドイメージを高め、ユーザーに関心を持ってもらう機会の創出が可能です。

UI/UXの改善ステップ

本章では、UI/UXの改善ステップについてWebサイトを例に、以下の5段階で解説します。

  • Webサイトの現状や課題の分析

  • ユーザーの実態を把握する

  • 要求事項を明確にする

  • 新たなデザインを開発する

  • 最終テストと確認を行う

上記のサイクルを繰り返すことで、デザインは徐々に洗練され、本当に価値のあるユーザー体験が創り出されていきます。

Webサイトの現状や課題の分析

改善の第一歩は、現状把握から始まります。

Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを活用し、「ユーザーがどのページで離脱しているのか」「どのボタンがクリックされていないのか」といったデータを詳細に分析しましょう。

滞在時間・直帰率・コンバージョン率なども重要な指標です。
ユーザー行動を可視化することで、課題が明確になります。

さらに、競合他社のWebサイトを徹底的に調査し、自社の強みと弱みを客観的に把握することが不可欠です。競合のコンテンツ・デザイン・SEO対策などを分析し、差別化戦略を練りましょう。

加えて、ユーザーレビューやSNSでの評判も参考になります。

ユーザーの実態を把握する

データ分析だけでは見えてこない、ユーザーの生の声を聞くことも不可欠です。
アンケートやユーザーインタビューを通じて、「ユーザーが普段どのようにサービスを利用しているか」「何に不満を感じているか」「どのようなことを期待しているか」を分析しましょう。

定量データだけでは捉えきれない、潜在的なニーズや改善点を発見するために、定性的なアプローチは非常に重要です。
ユーザーの行動・感情・思考を深く掘り下げることで、より顧客中心の製品・サービス開発が進めやすくなります。

要求事項を明確にする

現状分析とユーザー理解から得られた情報をもとに、改善の具体的な目標を定めます。
目標設定は、単なる願望ではなく、達成度を測れる明確な指標が必要です。

例えば、以下のような目標が理想です。

  • 会員登録ページの離脱率を20%改善し、登録完了率を向上させる

  • 商品の検索機能をより直感的にし、目的の商品への到達時間を短縮する

上記の目標は、デザイン開発における重要な指標となり、具体的な改善策を導き出すための基盤となります。

新たなデザインを開発する

設定した目標を達成するためのアイデアを出し、具体的なデザインに落とし込みましょう。

まずは、画面の骨格となる「ワイヤーフレーム」を作成し、情報や機能の配置を決定します。
その後、色やフォントといった視覚的な要素を加えたプロトタイプを作成し、実際に操作できる形にしましょう。

最終テストと確認を行う

作成したプロトタイプを実際のユーザーに使ってもらい、その様子を観察します。
「操作に迷っていないか」「目標をスムーズに達成できるか」といった点を評価し、問題点が見つかれば改善を重ねましょう。

ユーザーテストを繰り返すことで、デザインの精度を高め、リリース後の失敗リスクを最小限に抑えられます。

UI/UX改善の5つのポイント

優れたUI/UXデザインを実現するためには、以下のポイントを意識しましょう。

  • インターフェースやサイトデザインを再考する
  • 表示速度に注意する
  • ユーザーの立場に立って考える
  • 導線を最適化する
  • 専門家のアドバイスを受ける

本章では、特に重要な5つのポイントを紹介します。

  • インターフェースやサイトデザインを再考する

  • 表示速度に注意する

  • ユーザーの立場に立って考える

  • 導線を最適化する

  • 専門家のアドバイスを受ける

本章では、特に重要な5つのポイントを紹介します。

インターフェースやサイトデザインを再考する

デザインは単なる装飾ではなく、情報を効果的に伝えるための手段です。
ユーザーが必要な情報にすぐたどり着けるよう、情報の優先順位を整理し、一貫性のあるレイアウトや配色を心がけましょう。

「テキストリンクの色が違う」「ページによってボタンの形が異なる」など、一貫性のないデザインはユーザーの混乱を招き、目的の達成を妨げる要因です。
そのため、ユーザーがスムーズに目的を達成できるように、デザインを統一し、わかりやすくする必要があります。

ユーザーの特性やニーズを理解して設計されたわかりやすいデザインは、認知的な負担を減らし、快適な体験を実現するうえで不可欠です。

表示速度に注意する

どれだけ優れたデザインのWebサイトでも、ページの表示速度が遅ければ、ユーザーは待ってくれません。
画像のファイルサイズを最適化したり、不要なプログラムを削減したりするなど、サイトのパフォーマンスを常に意識することが重要です。

ページの表示速度は、ユーザー満足度に直結するUXの基本的な要素です。

ユーザーの立場に立って考える

デザインの全ての判断基準は、「ユーザーにとってどうか」であるべきです。
作り手の都合や思い込みでデザインを進めるのではなく、常にユーザーの視点に立ち返り、「これなら迷わないか」「目的を達成できるか」「ほしい情報を得られるか」「この表現で伝わるか」を自問自答する姿勢が求められます。

ユーザーへの共感が、優れたデザインの出発点です。

導線を最適化する

導線とは、ユーザーがサイト内を目的までたどる経路のことです。
ユーザーが次に取るべき行動が自然に分かるように、ボタンの文言を工夫したり、関連情報へのリンクを適切に配置したりしましょう。

スムーズな導線設計は、ユーザーをゴール(コンバージョン)へと導くための鍵です。

専門家のアドバイスを受ける

UI/UXデザインは専門性の高い分野であり、時には社内だけでの改善に限界を感じることもあります。
そのような場合は、外部の専門家や専門企業の知見を活用することも有効な手段です。

外部の専門家に依頼するなら、TDCソフトが最適です。
TDCソフトは金融システム開発などで培った高品質なUI/UX設計のノウハウを活かし、ビジネス課題の本質的な解決を支援してくれます。

まとめ:UI/UXはユーザー視点とビジネス成果をつなぐ鍵

UIは、Webサイトのボタン配置・フォント・色使いなど、ユーザーが直接触れる部分を指し、UXは、そのUIを通してユーザーが得る感情・満足度・使いやすさなど、体験全体を意味します。

優れたUI/UXは、ユーザーが目的を達成し、快適にサービスを利用するうえで不可欠な要素です。
さらにユーザー満足度を高めるだけでなく、顧客ロイヤリティの向上・企業の収益増加・ブランド価値の向上にも直結します。

Webサイトを運営する際は、常にユーザーの視点に立ち、最適なUI/UXを追求していきましょう。

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