ユーザビリティとアクセシビリティの違いとは?定義・重要性などを解説

Webサイトを制作するうえで重視すべき要素は多々あります。
なかでも「ユーザビリティ」や「アクセシビリティ」は、Webサイトに不可欠な要素としてよく耳にする用語です。

しかし、それぞれの用語の違いがよくわからないと感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ユーザビリティ・アクセシビリティの定義や違い、重要性などについて解説します。
また、ユーザビリティとアクセシビリティを意識したWebサイト制作のポイントについても解説するので、ぜひ参考にしてください。

 

 

ユーザビリティとアクセシビリティの定義

まずは「ユーザビリティ」と「アクセシビリティ」、それぞれの言葉が持つ正確な意味を確認しましょう。

これらの概念はしばしば混同されがちですが、その定義を正しく理解することが、すべての基本となります。

ユーザビリティとは

ユーザビリティ(Usability)とは、ユーザーが特定の状況で製品やサービスを利用する際に、「どれだけ効率的に、効果的に、満足して目標を達成できるか」の度合いを指します。
端的にまとめると「使いやすさ」や「わかりやすさ」を意味する用語です。

なお、ユーザビリティはISO(国際標準化機構)において以下の要素で定義されています。

評価要素 内容

有用性

使用の指定された情況の中で有効性・効率、および充足を備えた指定された目標を達成するために、指定されたユーザーによって製品が慣れることができる範囲。

有効性

ユーザーが指定された目標を達成するうえでの正確さと完全さ。

効率

ユーザーが目標を達成する際の正確さと完全さに費された資源。

充足

不快さのないこと、および製品使用に対しての肯定的な態度。

参照:組込みソフトウェア開発における品質向上の勧め[ユーザビリティ編]|独立行政法人情報処理推進機構

上記のように、ユーザビリティは感覚的なものではなく、実践的な概念です。

アクセシビリティとは

アクセシビリティ(Accessibility)とは、「利用のしやすさ」や「アクセスのしやすさ」を意味する用語です。
年齢・身体的な制約・利用している環境(デバイスや通信速度など)に関わらず、すべてのユーザーがWebサイトやアプリケーションで提供される情報や機能にアクセスし、利用できることを指します。

特に、高齢者や何らかの障がいを持つ方が、健常者と同じように情報やサービスを享受できる環境を整えることが、アクセシビリティの重要な目的です。
これは単なる社会貢献活動ではなく、2024年4月に施行された改正障害者差別解消法により、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されるなど、法的な要請にもなっています。

参照:事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化|政府広報オンライン

ユーザビリティとアクセシビリティの違い

ユーザビリティとアクセシビリティは、どちらもUX(ユーザー体験)を向上させる点で共通していますが、その対象範囲と目的に明確な違いがあります。
アクセシビリティは「そもそも使えるか」のような前提条件に関わるのに対し、ユーザビリティは「ユーザーがちゃんと使えるか」といった使用可能性や体験の質に関わります。

それぞれの違いは以下のとおりです。

比較項目 ユーザビリティ アクセシビリティ

対象

特定のユーザー(製品やサービスのターゲット層)

すべてのユーザー(障がい者・高齢者・多様な環境の利用者を含む)

目的

効率的・効果的・満足できる体験の提供(使いやすいかどうか)

情報や機能へのアクセスの保証(使えるかどうか)

具体例

購入ボタンをわかりやすい位置に配置し、少ないステップで決済できるようにする。

画像に代替テキストを設定し、スクリーンリーダーで内容を理解できるようにする。

ユーザビリティとアクセシビリティの関連性

ユーザビリティとアクセシビリティは、異なる概念でありながら、密接に関連し合っています。
多くの場合、アクセシビリティを高めるための施策は、結果としてユーザビリティの向上にもつながります。

例えば、Webサイトの文字色と背景色のコントラスト比を十分に確保することは、視覚に障がいがあるユーザーにとって不可欠なアクセシビリティ対応です。
これは同時に、屋外の明るい日差しの下でスマートフォンを操作する健常者にとっても「文字が見やすい」といったユーザビリティの向上に貢献します。

このように、両者は対立するものではなく、より良いUXを創造するための車の両輪のような関係です。

ユニバーサルデザインとの違い

アクセシビリティに関連する概念として「ユニバーサルデザイン」があります。
年齢・能力・状況にかかわらず、できるだけ多くの人が利用できるように製品や環境を「最初からデザインする」考え方です。

それぞれの違いを以下の表にまとめました。

概念 考え方 アプローチ

アクセシビリティ

特定の障壁(バリア)があるため、それを取り除く(バリアフリー)。

問題が発生してから対応するアプローチも含む。

ユニバーサルデザイン

最初から障壁(バリア)がないように設計する。

事前の設計思想。

アクセシビリティが利用できない問題を解決するためのアプローチであるのに対し、ユニバーサルデザインは「そもそも問題が起きないようにする」といった設計思想そのものを指す点で異なります。

ユーザビリティ・アクセシビリティが重要な理由

ユーザビリティとアクセシビリティが重要な理由は以下のとおりです。

  • UXを改善できる

  • マルチデバイスに対応できる

  • コンプライアンスの遵守につながる

適切なWebサイト制作を実現するためにも、あらためて重要性を確認しましょう。

UXを改善できる

ユーザビリティとアクセシビリティの向上は、UX全体の質を底上げします。
UXとは「User Experience」の略称であり、「ユーザー体験」を意味する用語です。

Webサイトが使いやすく、誰にとってもアクセスしやすい状態であれば、ユーザーはストレスなく目的を達成できます。
その結果、ユーザー満足度が高まるため、Webサイトの滞在時間が増加し、再訪率の向上につながります。

満足したユーザーは製品やサービスのファンになり、最終的にはコンバージョン率の向上や売上増加といったビジネス成果に大きく貢献します。

マルチデバイスに対応できる

現代のユーザーは、パソコン・スマートフォン・タブレットなど、さまざまなデバイスでWebサイトにアクセスします。
そのため、Webサイトが安定して機能するためにも、マルチデバイスへの対応は不可欠です。

アクセシビリティの基本原則である「堅牢性(Robustness)」は、まさに多様な環境で安定して機能するように設計することを意味し、マルチデバイス対応の基礎です。

アクセシビリティを考慮したコーディングは、特定のブラウザやデバイスに依存しない、より標準的で互換性の高いサイト構築を促します。
これにより、パソコンだけでなく、モバイルデバイスや古いブラウザからアクセスするユーザーに対しても、安定したユーザビリティを提供できるようになります。

アクセシブルなWebサイトは、結果としてより多くのユーザーに利用される可能性を高める要素です。

コンプライアンスの遵守につながる

2024年4月1日より改正障害者差別解消法が施行され、民間事業者には障がい害者への「合理的配慮の提供」が義務付けられました。
Webサイトやアプリケーションのアクセシビリティ確保は、この合理的配慮に不可欠な要素です。

アクセシビリティ対応を怠ると、法的リスクに加え、企業の社会的責任(CSR)を果たしていないと判断され、ブランドイメージを損なう可能性があります。
コンプライアンス遵守と企業信頼性向上のため、アクセシビリティ対応は不可欠です。

企業は、アクセシビリティに関する知識を深め、継続的な改善に取り組む必要があります。
この取り組みは、法的な義務を果たすだけでなく、多様な人々が利用しやすい、より包括的な社会の実現に貢献することにもつながります。

アクセシビリティ対応は、企業の持続的な成長と社会への貢献を両立させる重要な戦略です。

参照:改正障害者差別解消法が施行されました|内閣府

ユーザビリティ・アクセシビリティの改善策

本章では、Webサイトやアプリケーションのユーザビリティとアクセシビリティを向上させるための、明日から実践できる具体的な改善策を紹介します。
ユーザビリティとアクセシビリティの有効な改善策は以下のとおりです。

  • シンプルで集中しやすい画面設計にする

  • Webサイトの導線を明確にする

  • アイコンやイラストを積極的に使う

  • ボタンのデザインを工夫する

  • 競合サイトと比較する

  • 定量的に評価できるツールを活用する

上記の改善策は、特別なツールがなくても実施できるものもあります。
より良いWebサイトを実現するためにも、積極的に実践しましょう。

シンプルで集中しやすい画面設計にする

Webサイトを制作するうえで、シンプルで集中しやすい画面設計にすることは重要です。

本当に重要な情報を際立たせるためには、不要な要素を削ぎ落とし、余白を効果的に活用することが不可欠です。
関連性の高い情報をグループ化し、ユーザーが求める情報にスムーズにアクセスできるように工夫しましょう。

1画面あたりの情報量を適切にコントロールすることも効果的です。
情報過多はユーザーの混乱を招き、離脱の原因となります。

視覚的なノイズを減らし、クリーンで整理されたレイアウトを心がけることで、コンテンツの理解度を高められます。

Webサイトの導線を明確にする

ユーザーがサイト内で迷子にならないように、明確な導線を提供しましょう。
ユーザーが「今どこにいるのか」「次にどこへ行けば良いのか」を常に把握できるように心がけましょう。

特に、以下の要素を意識することが重要です。

項目 説明

グローバルナビゲーションの強化

サイト全体の主要なコンテンツへのリンクを、視覚的にわかりやすく、かつアクセスしやすい場所に配置します。カテゴリ分けを明確にし、必要に応じてサブメニューを活用することで、ユーザーが目的のページへ素早く辿り着けるように工夫しましょう。

パンくずリストの最適化

現在のページがサイト全体のどの階層に位置しているのかを、パンくずリストで明確に示します。階層構造が複雑なサイトほど、パンくずリストの重要性は増します。各階層へのリンクを設置し、ユーザーが容易に上位階層へ移動できるようにしましょう。

リンクテキストの改善

リンクテキストは具体的かつ説明的に記述します。「こちら」や「詳細はこちら」といった曖昧な表現は避け、「〇〇の料金プランを見る」「〇〇の登録方法」のように、リンク先のコンテンツ内容が明確に予測できるテキストを使用しましょう。これにより、ユーザーは安心してリンクをクリックできます。

明確で使いやすいナビゲーションは、UXを向上させ、サイトの回遊率やコンバージョン率の向上につながります。
ユーザーがスムーズに情報にアクセスし、目的を達成できる、快適な設計を目指しましょう。

アイコンやイラストを積極的に使う

アイコンやイラストは、言語の壁を越えて直感的に情報を伝える強力なツールです。
テキストだけの説明よりも、視覚的な要素を組み合わせることで、ユーザーの理解を助け、Webサイトやアプリケーションのユーザビリティ向上に大きく貢献します。

例えば、ショッピングサイトでカートのアイコンをクリックすると、購入予定の商品一覧が表示される、といった使い方は一般的です。

ただし、アクセシビリティの観点からは、以下の点に注意が必要です。

ルール 説明

代替テキストの設定

画像が伝えたい情報は、alt属性を用いて必ずテキストで記述します。スクリーンリーダーを使用しているユーザーは、このテキスト情報を頼りに画像の内容を理解します。alt属性が適切に設定されていないと、情報が伝わらず、UXを著しく損なう可能性があります。

アイコンの普遍性

一部のユーザーにしか理解できないような、特殊すぎるアイコンの使用は避けます。できるだけ一般的に認知されているアイコンを使用するか、必要に応じて補足テキストを追加することを検討しましょう。例えば、特定の業界でしか使われない専門用語を模したアイコンは避けるべきです。

視覚情報とテキスト情報の両方で伝えることが、より多くのユーザーへの配慮につながります。
情報伝達の効率化とアクセシビリティの向上を両立させることで、ユーザーフレンドリーなWebサイトやアプリケーションを実現できます。

ボタンのデザインを工夫する

ボタンはユーザーに行動を促すための重要な要素です。
ユーザーが一目で「これはクリック(タップ)できる」と認識できるよう、デザインを工夫しましょう。

ボタンの色・形・大きさ・インタラクションは、UXに大きく影響します。
周囲のテキストとは明らかに異なる色・形・スタイルにし、視覚的に区別することで、ボタンの存在を際立たせましょう。

特にスマートフォンでは、指で押しやすい十分なタップ領域を確保することが重要です。
小さすぎるボタンは誤タップを招き、ユーザーのフラストレーションを高めます。

加えて、マウスオーバー時やクリック時に色が変化するなど、インタラクティブな反応があると、ボタンが正常に機能していることをユーザーに伝えやすくなります。

競合サイトと比較する

Webサイトのユーザビリティとアクセシビリティ改善には、競合サイト分析が不可欠です。
業界標準の操作性や、ユーザーが慣れたデザインを参考に、優れた点を積極的に取り入れましょう。

一方で、競合サイトの課題点を洗い出し、自社のWebサイトが同様の問題を抱えていないか確認します。
例えば、ナビゲーションのわかりやすさ・コンテンツの構造・モバイル対応などを比較検討します。

単に模倣するのではなく、自社サイトのターゲットユーザーに合わせた最適化が重要です。
客観的な視点での比較分析を通じて、自社の強みを最大限に活かし、弱点を克服することで、UXを向上できます。

定量的・定性的にに評価できるツールを活用する

感覚だけに頼らず、定量的・定性的の両面から評価できるツールを活用して改善を進めることが成功の鍵です。
昨今はユーザビリティやアクセシビリティを評価するためのさまざまなツールが存在します。

代表的なツールは以下のとおりです。

ツールの種類 目的 代表的なツール例

アクセシビリティチェッカー

WCAGなどの基準に基づき、アクセシビリティの問題点を自動で検出する。

・miChecker
・axe DevTools
・Lighthouse

ヒートマップツール

ユーザーがページのどこをよく見ているか、どこをクリックしているかを可視化する。

・Microsoft Clarity
・Hotjar

ユーザビリティテスト

実際のユーザーにタスクを実行してもらい、行動や発言から課題を発見する。

専門企業への依頼や自社での実施

ヒューリスティック評価

専門家が経験則(ヒューリスティック)を基にWebサイトやアプリケーションのユーザビリティやアクセシビリティを評価する。

専門企業への依頼や自社での実施

上記のツールを活用し、客観的なデータに基づいて仮説検証のサイクルを回すことで、効果的な改善が可能になります。

なお、ユーザビリティテストを通じてWebサイトの改善点を発見するなら、ぜひTDCソフトにご相談ください。
TDCソフトはユーザビリティテストのワークショップや、ヒューリスティック評価の研修を実施しており、ユーザビリティ・アクセシビリティを改善するポイントをお伝えしています。

また、WebサイトのUXを向上させるための直接的な支援も実施しているので、ぜひお役立てください。

まとめ:ユーザビリティとアクセシビリティの違いを理解してビジネスに活用しよう

ユーザビリティとアクセシビリティは類似していますが、実際は異なる概念です。
ユーザビリティは「ユーザーがちゃんと使えるか、いかに快適に使えるか」といった使用可能性や体験の質を意味する一方で、アクセシビリティは「そもそも使えるか」のような前提条件に関わる要素です。

両者の違いや関連性を理解し、適切な改善策を講じましょう。

ユーザビリティとアクセシビリティ双方の観点からWebサイトを改善する際は、ぜひTDCソフトにご相談ください。
多くの企業をサポートすることで培ってきたノウハウを活用し、御社のWebサイトをより良い形に改善します。

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