顧客理解の深め方9選!重要性や課題、進め方、フレームワークも解説
近年、顧客ニーズの多様化に伴い、UI/UXにおける顧客理解の重要性が高まっています。
「どのような方法で情報を集めるのか」「分析結果をどう活かすのか」など、疑問がある方もいるでしょう。
本記事では、UI/UXにおける顧客理解のよくある課題から、9つの具体的な方法、役立つフレームワーク、効果的な進め方まで、実践的な内容を紹介します。
顧客視点のプロダクト設計やUI/UX改善を進めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
顧客理解とは、顧客の真のニーズや本音を把握すること
UI/UXにおける顧客理解とは、顧客がどのような目的でサービスを利用し、どこで迷い、何に価値を感じるのかを深く把握することです。
顧客の行動や心理の背景まで含めて理解し、より実態に近い顧客像を捉える目的があります。
顧客理解を深めるには、年齢や性別といった属性を把握するだけでは不十分です。
以下の視点で多角的に分析する必要があります。
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利用シーン:いつ・どこでサービスを利用するのか
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行動の流れ:情報収集から利用完了までのプロセス
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感情の変化:不安・期待・満足などの心理状態
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課題やストレス:操作のわかりにくさや不満点
顧客理解を深められると、顧客の行動や心理に沿った設計が可能となり、UXや満足度の向上につながります。
顧客理解がUI/UXで重要な理由
以下では、顧客理解がUI/UXにおいて重要視される理由を紹介します。
顧客の行動の背景にあるインサイトを把握
顧客の行動には、理由や心理的背景が存在します。
顧客理解を深められると、表面的な行動データだけでなく、本音・動機・価値観など行動の背景にあるインサイトを把握できます。
その結果、顧客が本当に求めている機能や体験を設計でき、UI/UXのより的確な改善が可能です。
顧客視点で本当に使いやすいプロダクトの実現
顧客の行動や思考を理解していないと、開発者や企業側の都合を優先した設計になり、結果として使いにくいUIになります。
一方、顧客理解をもとにUI/UXを設計すると、顧客の利用シーンや行動パターンに合わせた導線の構築が可能です。
結果として、顧客が迷わず目的の操作にたどり着けるようになり、利用率の向上につながります。
UI/UX施策の最適化
顧客理解が不足した状態でUI/UX施策を実施すると、改善の方向性がズレ、十分な効果を得られません。
一方、顧客の課題や行動パターンを把握できていると、改善点を明確にでき、優先度の高い施策から効率的に取り組めるようになります。
その結果、UXをより適切に改善でき、コンバージョン率(CVR)の向上や離脱率の改善など、ビジネス成果に結びつきます。
顧客理解でよくある課題
顧客理解の重要性は認識されているにもかかわらず、十分に実施できていないケースも見られます。
その背景には、以下のような課題があります。
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実際の顧客データを使った調査を行わず、担当者の経験や仮説のみで顧客像を設定し、実態とかけ離れる
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マーケティング部門や開発部門間の連携不足により顧客情報が共有されず、顧客理解が部分的になる
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顧客理解のためのリソースが確保できず、調査やデータ分析に工数を割けない
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アクセス解析などの定量データのみ、またはインタビューなどの定性データのみに偏って判断する
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調査結果がUI/UX施策やプロダクトの改善に反映されない
これらの課題を放置すると、UI/UX改善の方向性がズレ、UX向上につながりません。
顧客理解の方法9選
以下では、顧客理解に有効な方法を9つ紹介します。
各手法には特徴や向き・不向きがあるため、目的や状況に応じて使い分けましょう。
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顧客インタビュー
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エキスパートインタビュー
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ユーザビリティテスト
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エスノグラフィ
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ソーシャルリスニング
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営業・カスタマーサポート部門へのヒアリング
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口コミ調査
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インテントデータ分析
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顧客アンケート
1.顧客インタビュー
顧客に話を直接聞き、行動の背景や本音を把握する方法です。
利用目的や課題、サービス利用時の感情を深く理解できるため、アンケートでは見えにくい心理や利用理由を理解できます。
特に、新規サービスの企画やUI/UX改善の方向性を検討する際に、顧客理解を深めるうえで有効な手法です。
ただし、一定数以上の回答を得るためには、顧客の選定やインタビューの実施、内容分析に時間がかかります。
顧客理解を効率的に進めるには、少人数でも質の高い回答を得られるように、調査目的を明確にしたうえで質問設計を行うことがポイントです。
2.エキスパートインタビュー
エキスパートインタビューは、業界専門家や経験豊富な顧客から意見を聞き、顧客の行動や市場動向を理解する方法です。
専門的な知見を短時間で得られる一方、個人の経験に偏る点には注意が必要です。
そのため、複数の専門家の意見を収集する、他の調査結果と併せて分析するなどにより、客観性を担保する必要があります。
顧客ニーズや購買行動の背景を理解する際に有効な手法です。
3.ユーザビリティテスト
ユーザビリティテストは、顧客に実際にプロダクトを操作してもらい、操作性や課題を観察する調査方法です。
利用状況に近い環境でテストを実施することで、開発者側では気付きにくい問題点やUXの課題を発見できます。
より顧客理解を深めるうえでは、顧客が考えていることを口に出してもらうのが効果的です。
顧客に迷った箇所や操作を選んだ理由などの思考を共有してもらうことで、行動の背景や心理を把握できます。
新機能のリリース前後の検証時に、利用上の課題を把握したい場合に適した手法です。
4.エスノグラフィ
エスノグラフィは、顧客の生活や業務の現場を観察し、行動や環境を理解する調査方法です。
日常の行動観察を通じて、顧客自身も気付いていない潜在的なニーズや課題を発見できる点がメリットです。
例えば、業務システムが利用される現場を観察すると、作業中に発生している無駄な操作や使いにくい機能を具体的に把握できます。
実際の利用環境や業務プロセスの中で、顧客の行動や課題を把握したい場合に適しています。
5.ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングは、SNSやオンラインコミュニティ、レビューサイトの投稿を分析し、顧客の意見や評価を収集する方法です。
企業への問い合わせやアンケートとは異なり、顧客が日常的に発信している率直な意見や感情を分析できます。
例えば、自社ブランドやプロダクトの投稿の傾向を分析すると、顧客の満足点・不満点の可視化が可能です。
ただし、収集する媒体によって意見が偏るため、データの解釈には注意しましょう。
顧客の正直な評価や不満、ニーズを把握したい場合に適しています。
6.営業・カスタマーサポート部門へのヒアリング
営業やカスタマーサポートは、顧客と直接接する機会が多く、顧客の課題や要望を把握しています。
これらの部門からヒアリングすると、顧客の課題や不満、要望に関するリアルな声を効率的に収集できます。
あわせて、問い合わせ内容や商談時の反応を分析すると、顧客が求めている機能やつまずいているポイントを把握することも可能です。
こうした情報は、デザインや機能の改善に役立ちます。
ただし、各部門の顧客情報は個別事例が中心になるため、全体傾向の把握は困難です。
そのため、問い合わせ内容や顧客の声をデータとして整理し、共通する課題やニーズを分析することが重要です。
7.口コミ調査
口コミ調査は、レビューサイトやアプリストア、ECサイトに投稿された評価やコメントを分析する方法です。
実際にサービスやプロダクトを利用した顧客の意見を確認できるため、顧客が感じているリアルなメリットや不満点を把握できます。
また、競合製品の口コミも分析すると、顧客が重視している価値や選択理由の理解も可能です。
ただし、口コミは満足度が極端に高い顧客や強い不満を持つ顧客が投稿する傾向があります。
そのため、複数のプラットフォームの口コミを分析することが大切です。
口コミ調査は、既存サービスに対する顧客の期待やニーズを理解するうえで役立ちます。
8.インテントデータ分析
インテントデータ分析は、顧客の検索行動や閲覧履歴、コンテンツの閲覧状況を分析し、興味関心や購買意図を調査する方法です。
顧客がどのような情報を探しているのか、どのテーマに関心があるのかをデータから把握でき、コンテンツ設計の改善によく活用されます。
例えば、検索キーワードや閲覧ページの傾向を分析すると、顧客が抱えている課題や、求めている情報を推測できます。
ただし、検索や閲覧行動の背景にある理由までは把握できないため、インタビューなどの定性調査との併用が不可欠です。
9.顧客アンケート
アンケートは、多くの顧客から意見を収集し、全体傾向を把握する方法です。
オンラインフォームやアプリ内アンケートを活用すると、幅広い顧客の意見を短期間で集められます。
ただし、アンケートは回答内容が簡潔になる傾向があり、行動の背景や心理まで深く把握できません。
そのため、設問設計を工夫し、選択式の質問と自由回答を組み合わせることで、より具体的で実用的なデータを得ることが重要です。
顧客の評価や課題の傾向を把握できるため、顧客満足度の把握や改善課題の優先順位を整理する際に有効な手法です。
顧客理解の進め方
以下では、顧客理解の基本的な進め方を紹介します。
1.目的とKPIの明確化
顧客理解を進める際は、まず目的を定義します。
新規顧客獲得や離脱率改善、リピート率向上など、目的によって調査すべき内容や適切な手法が異なるためです。
また、目的に合わせてCVR・離脱率・利用頻度・継続率などのKPI設定も必要です。
目的とKPIを明確にできると、顧客理解により得られた成果を客観的に評価できます。
2.顧客に関するデータの収集
顧客理解を深めるためには、顧客の行動や意見を多角的に把握することが重要です。
例えば、新規顧客獲得を目的とする場合は、顧客インタビューとアンケートを活用し、認知経路や初回利用時の体験を把握します。
また、離脱率改善では、ユーザビリティテストとアクセス解析を組み合わせ、離脱の原因分析が必要です。
目的に応じて複数の調査手法を組み合わせてデータを収集すると、より精度の高い顧客理解につながります。
3.行動パターンや課題の分析
顧客理解手法を活用し、収集したデータをもとに顧客の行動パターンや課題を分析します。
具体的には、以下のような観点で分析を行います。
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顧客の利用フローの可視化:ユーザビリティテストや顧客インタビューにより、サービスの利用開始から目的達成までを整理し、迷いや不満が生じているタイミングを特定
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利用頻度や継続率の分析:アクセス解析やアンケートから、顧客の利用状況を把握して継続利用の要因や課題を整理
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顧客の行動パターンの分類:アンケートやインテントデータ分析を用いて、顧客の利用目的や行動傾向ごとに共通する課題を抽出
このような分析により、UXを妨げている要因が明確になり、UI/UX改善の具体的な方向性が見つかります。
4.UI/UX施策への展開
分析で得られたインサイトは、以下のようにUI/UX改善施策に落とし込みます。
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操作フローの簡略化:顧客が迷いやすい導線や手順を見直し、必要な操作数を削減することで、ストレスの少ない体験を実現する。
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情報設計の改善:顧客が求める情報を理解しやすい構造で配置し、目的を達成しやすい情報体験を提供する。
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ナビゲーションの最適化:メニュー構成や導線を整理し、顧客が迷わず目的のページに到達できるよう、認知負荷を減らす。
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顧客サポートの強化:チュートリアル、ガイド表示、オンボーディング施策などを充実させ、顧客が操作やタスク達成に不安を感じない環境を整える。
顧客理解の結果をプロダクト改善に反映させると、顧客満足度の向上が期待できます。
5.施策の評価と改善
UI/UX施策の実施後は、顧客理解の反映効果を検証します。
施策によりUXが改善されたのか、顧客の行動に変化が生まれたのかを確認すると、次の改善につなげられます。
具体的な評価方法は、以下のとおりです。
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KPIの変化を確認:CVR・離脱率・継続率などの指標を測定し、施策前後での変化を分析
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A/Bテストの実施:改善前後のUIを比較し、どちらが顧客行動の改善につながるかを検証
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顧客アンケートの実施:満足度や使いやすさに関する顧客の評価を比較
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問い合わせ・口コミの分析:カスタマーサポートへの問い合わせ内容や口コミの変化から、顧客の評価を把握
結果をもとに改善を重ね、PDCAサイクルを継続的に回していくことで、顧客理解を活用したUI/UX改善を成功に導けます。
顧客理解に役立つフレームワーク
顧客理解を効率良く進めるためには、フレームワークの活用が有効です。
特に役立つフレームワークは、以下の3つです。
【RFM分析】
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概要:Recency(最終購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3つの指標で顧客を分類する分析手法
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メリット:優良顧客や離脱リスクのある顧客を特定し、UI/UX施策の優先順位を決められる
【カスタマージャーニーマップ】
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概要:顧客が商品やサービスを認知してから利用・継続するまでの体験を時系列で可視化する手法
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メリット:各接点での行動や感情、課題を整理でき、UI/UX改善や顧客体験の向上に役立つ
【STP分析】
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概要:Segmentation(市場の細分化)、Targeting(ターゲット設定)、Positioning(競合との差別化)で市場戦略を整理するフレームワーク
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メリット:ターゲット顧客を明確にし、自社プロダクトで提供すべき価値を把握できる
フレームワークを活用すると、顧客の行動やニーズを抜け漏れなく把握でき、UI/UX施策の精度が向上します。
顧客理解の差が付くポイント
以下では、顧客理解の差が付くポイントを紹介します。
定量データと定性データを組み合わせて分析
顧客理解の精度を高めるためには、定量データと定性データを組み合わせて分析することが重要です。
アクセス解析や購買履歴、アンケート結果などの定量データは、顧客の行動傾向を客観的に把握するのに役立ちます。
一方、顧客インタビューや観察調査などの定性データは、行動の背景にある感情や動機を理解するために有効です。
両者を組み合わせると、何が起きているのかとなぜ起きているのかを把握でき、より実態に近い顧客理解につながります。
マーケティング・営業・CSなど部門横断での情報共有
顧客理解を深めるには、マーケティングや営業、カスタマーサポート(CS)など、顧客情報を持つ部門同士の連携が欠かせません。
例えば、マーケティング部門はアクセス解析やキャンペーンデータなどの行動データ、営業部門は商談時の課題やニーズ、CSは問い合わせ内容や利用後の不満点を把握しています。
それぞれの情報を共有できると、顧客の行動や課題を多角的に理解でき、顧客像をより立体的に捉えられます。
情報を共有するためには、定期的な情報共有ミーティングの実施や顧客データを一元管理する仕組みの構築が有効です。
顧客情報をスムーズに共有でき、顧客理解を部門横断的に深められます。
顧客理解は継続的にアップデートを
顧客のニーズや行動は、時代や市場環境、技術の変化の影響を受けて変化します。
そのため、一度策定した顧客像やUI/UX改善施策を使い続けると、実際の顧客の行動とズレます。
顧客ニーズに合ったプロダクトを継続的に提供するためには、アクセスデータに加え、インタビューやアンケートなどの調査結果を定期的に見直し、顧客理解を更新していくことが重要です。
顧客理解を都度アップデートすることで、UI/UX改善精度を高め続けられます。
まとめ:顧客理解を深め、UI/UX施策の精度を高めよう
顧客理解は、顧客の行動やニーズを把握し、UI/UX改善やプロダクトの価値向上につなげるために重要な取り組みです。
インタビューやアンケート、行動分析など複数の手法を組み合わせることで、より精度の高い施策立案や改善につながります。
自社に合った方法で顧客理解を深め、継続的なUI/UX改善に活かしていきましょう。
TDCソフトでは、顧客理解に基づくUI/UX改善を支援しています。
調査・分析に加え、改善施策の立案からシステム開発への反映まで一貫してサポート可能です。
顧客理解を活かしたUI/UX改善をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。