AIを入れたのに使われない?──現場が使いこなすための4つの設計視点
ここ数年、「AIで効率化できる!」「AIを導入しよう!」という声が聞こえてきます。
筆者も普段の業務においてAIをよく利用しています。
AIを使い始めた当初は、AIが出した情報がすべて真実だと思い、実はそんなデータは存在しなかった!という失敗をした経験もあるのではないでしょうか。
しかし、使い慣れていくにつれ、何となく欲しかったアウトプットと違うな、と感じたら出力されたアウトプットを採用しない、といった判断をするようになったり、ソース元を確認したりすることはありませんか? このように、私たちは日々、AIとの付き合い方を学習しています。
一方で、「AIを導入したけれど利用率が伸びない」「使ってはいるけれど、使いこなしている感じはしない」という声も聞きます。
世の中がイメージする“使いこなし”は、人とAIが自然に役割分担して、仕事が軽くなる状態だと思います。
そして、そこに近づく鍵は“AIそのもの”よりAIを使うことで起こる体験の作り方にあります。
AIは強力な助っ人ですが、使い方を間違えると宝の持ち腐れ。
AIに使われるのではなく、人がAIをコントロールできる状況を最初から作ることが大切です。
「AIだけの体験」にしない
Googleのデザイン指針(参考:Google People + AI Guidebook)でも、ユーザーがAIを使う場合、選べる/途中でやめられる/やり直せる/上書きできるといった手元のコントロールを用意する重要性が語られています。
要は、AIが答えを出すことよりも、その答えを人がどう扱えるかが肝心だ、ということです。
日常生活でAIに触れる機会は増えましたが、全ての業務やワークフローに対し、AIが完全に信用されているわけではない、というのは普段業務でAIを使っている方々には共感いただけるのではないでしょうか。
例えば、ユーザーがあるタスクにおいてAIを利用し、何回か成功体験を経験すると、ユーザーはAIを「間違えない存在」「常に正解を出す存在」として認識し、本来のタスクで求めていた以上の判断や責任まで委ねてしまうことがあります。
一方で、AIが一度でも重大なミスを犯すと、信用は即座に失われます。期待値が過剰に上がることで、ミスの解釈余地がなくなり、ユーザーからのネガティブな印象は持続化しやすく、最終的にはAIに嫌悪感を抱くこともあります。
このように、人間関係と同様にAIに対する信用は時間とともに構築される一方で、期待値が極端に高まりやすく、失敗への許容度が低い分、人間同士の関係よりもシビアに評価されやすいと言えるかもしれません。
現場がAIを使いこなすために必要な「4つの設計視点」
今回は企画・PM・部門リードをする方に向け、“組織としてAIを使いこなす状態”へ近づく4つの設計視点をまとめてみました。
1.すべてAIに任せない(段階を決める)
最初からAIで自動化せず、まずは“人が最終確認”にしておくと、現場は安心して使い始められます。運用が安定してきたら、合意した条件(例:重大ミスが一定期間ゼロ)で“見守り中心”へ段階的に移行することで定着を早めます。 例えば、どこまで自動化するか、人が操作したい場面はどこかを事前に洗い出すことで、AI活用イメージを具体化して提示することができます。 これにより、利用者が抵抗感なく、安心してAI活用へ移行させることができます。
2.AIが出した答えに“なぜそうなったのか”を一言添えておく
ドキュメントの要約を出力する際など、出力結果に対し、出典や思考に至った理由を短く置くことで、ユーザーは信頼できる情報かどうかを判断できます。 説明が長くなりすぎないよう、「一行理由+原文参照リンク」といった形式に整えることで、読みやすさと理解しやすさを両立でき、ユーザビリティの向上につながります。
3.すぐにやり直せる導線を常時表示
画像生成などで想定していたものと違ったアウトプットが出ることはありませんか? 間違えたらやり直せる、元に戻せるといった即時コントロールは、ユーザーが目的へ到達するための操縦性を高め、結果として試行のしやすさや採用されやすさにつながります。 プロトタイプ段階から“やり直し・取り消し”の位置や頻度をユーザーテストで検証し、最もストレスのない導線に調整していきます。
4.AIを使わない道を残し、人間が操作を選択できるようにする
入口で「AIに任せる/自分でやる」を選べ、いつでも2クリック以内で手動に戻れるようにしておくことで 「失敗しても戻れる」 という安心感を生みます。AI利用への心理的なハードルが下がり、導入初期から利用が進むことで、現場に定着させることができます。
まとめ
AIの活用場面を設計する場合はAIにすべてを任せるのではなく、必要な場面ではユーザーが選べるようにすることが重要です。
AIは業務を効率化する強力なツールですが、 “どう使われるか”を設計しなければ効果を発揮しません。
この4つのポイントを押さえることで、現場が安心して使える土台をつくることにつながります。
また、”どう使われるか”を検討する際に、UXデザインは有効な手段です。
AIと人がストレスなく連携できるよう“使いやすさの仕組み”をデザインします。
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