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ServiceNow と Microsoft Teams、Slack、LINE などのコミュニケーションツールを連携させることで、業務効率やユーザー体験を大きく向上できます。これらを組み合わせることで、単なる情報共有にとどまらず、プロセスの自動化やコラボレーションの強化まで実現できます。
今回は、ServiceNowのWorkspace機能と、Teams、Slackの連携により通知・承認・自己解決を一体化して運用を効率化することによる具体的な恩恵、課題、解決策、そして将来の展望について解説します。
ServiceNowとコミュニケーションツールの連携とは?
ServiceNowは、ITサービス管理にとどまらず、業務プロセス全体を最適化するための強力なプラットフォームです。
特に、Teams や Slack との連携で発生する通知・承認・更新といったアクションを受け取り、最終的な処理や管理を行う基盤となるのが Workspace 機能です。Workspace を利用することで、ユーザーは一つの画面から複数のタスクやプロセスをまとめて確認・操作でき、エージェントやエンドユーザーに次のような価値が生まれます。
・集中管理:インシデントやタスクを統一されたビューで管理
・リアルタイム分析:ダッシュボードを通じて進行状況やパフォーマンスを監視
・柔軟なカスタマイズ:業務フローやレイアウトをニーズに合わせて調整
また、ServiceNowの標準/Store提供のConversational Integrationを使い、TeamsやSlackに仮想エージェントと通知を提供します。チャネル内でインシデントの起票、検索、進捗確認、承認操作まで可能にします。コミュニケーションツールを連携させることで、期待できる効果は以下です。
・通知の一元化:インシデントや変更要求が発生した際に、即座に通知が届き、対応が迅速化
・タスクの共有:プロジェクトやサポートタスクをチャット内で確認し、優先度に応じたアクションを即座に実行
・自動化されたワークフロー:チャットボットを活用して、インシデント登録やステータス確認を自動化
・シームレスな連携:他のツールやシステムとの統合を通じて、業務の中断を最小限に抑える
ServiceNowでデータ連携させるメリット
ServiceNowとTeamsやSlackといったコミュニケーションツールをデータ連携させるメリットは大きく分けて3つあります。また、ServiceNowのNowAssist機能によるAI活用もメリットとなります。
1. 業務効率の向上
・通知による即応性の向上:例えば、ServiceNowで重大インシデントが発生した場合、Teamsの特定チャネルに即座に通知が届くことで、対応時間を大幅に短縮
・インシデント管理の簡略化:エージェントがSlack内のボットを通じて直接インシデントを登録し、その進捗を確認可能
・情報共有の迅速化:プロジェクトや変更要求のステータスがコミュニケーションツールに自動的に共有されることで、手動入力の手間を削減
2. ユーザーエクスペリエンスの向上
・自己解決の促進:チャットボットを介して、一般的なトラブルシューティングやFAQへのアクセスが容易に
・シンプルな操作:使い慣れたチャットUI(Slack/Teams)でITサポートが受けられるため、非技術系社員にも利便性が高い
・マルチデバイス対応:スマートフォン、PC、タブレットなど、あらゆるデバイスでシームレスに連携
3. コスト削減
・サポート負担の軽減:IT部門のスタッフが回答する前に、チャットボットやナレッジベースで多くの問題が解決される
・生産性の向上:従業員が日常的に使用するツールでServiceNowの機能にアクセスできるため、切り替えコストが低減
4. NowAssistの具体的な恩恵
・エージェントの負担軽減:NowAssistが一般的な質問への回答を自動化することで、エージェントが複雑なタスクに集中できる環境を提供
・プロアクティブな提案:チャット内での問い合わせに対し、過去のケースやナレッジベースから関連情報を提案
・24時間対応:AIを活用した常時対応により、グローバル企業でもタイムゾーンを問わないサポートを実現
ServiceNowとコミュニケーションツールの連携方法
Microsoft Teams 連携
ServiceNow Storeの「Conversational Integration with Microsoft Teams」を利用してVirtual Agentやライブエージェント連携を構成します。Microsoft Teams Graph SpokeとAdaptive Cardsを用い、通知や承認カードの配信を実装します。
Slack 連携
ServiceNow for Slackアプリを導入し、インシデント起票、レコード検索、通知のワークフローをSlack内で完結させます。Conversational Integration with SlackでVirtual Agent連携を構成し、チャットでの自己解決とエージェント移管を支援します。
外部チャット(LINEなど)への拡張
API/Webhook経由のカスタム連携により、社内に普及する外部チャットへ通知窓口を拡張します。運用・セキュリティ要件に応じた最小機能から着手します。
ServiceNowとデータ連携させる際のポイント
プロセス設計とRACIの明確化
現行プロセスの可視化と責任分担(RACI)を定義し、チャネル通知・承認・エスカレーションの誰が・いつ・何を明確化します。
セキュリティと監査
MFA、権限最小化、監査ログの保持を徹底。外部チャネルからの操作はトークン連携とIP許可制で制御し、PIIの取り扱いルールを徹底します。
段階導入と教育
パイロット→拡張の二段構えで、テンプレート化したチャンネル設計と標準手順(SOP)を展開。利用者向けガイドと動画で採用率を高めます。
ServiceNow導入ステップとデータ連携を成功させるコツ
ServiceNowデータ連携を成功させるには、次の3ステップが重要です。
【1. 業務プロセスの可視化】
現状のフローを棚卸しし、どこで情報が分断しているかを明確化。
【2. 段階的な導入】
全社一斉ではなく、パイロット運用でリスクを低減。
【3. ユーザー教育とセキュリティ強化】
シンプルなガイドラインを整備し、MFAや暗号化で安全性を確保。
さらに、APIやZapierなどの中間ツールを活用することで既存システムとの統合もスムーズに行えます。
Now Assistとハイパーオートメーションの活用
生成AIと自動化の進化で、要約・推奨・対話が高次化し、運用の自律性が向上します。
生成AIによる要約・回答支援
チャットやケース、インシデントの要約生成、自然言語の質問への検索強化により、一次対応のスピードと品質が向上します。
データドリブン運用
チャネル連携のイベントとService Operations Workspace(SOW)上の計測を統合し、MTTRや一次解決率の改善を継続的に検証します。
ハイパーオートメーション
ServiceNowを中核に、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やIoTプラットフォームとの統合が進むことで、完全自動化されたワークフローが可能となります。自動化により、夜間・少人数体制でも安定運用が可能です。
まとめ
IT運用の現場で「情報分断」「対応遅延」「残業増加」に悩む企業は少なくありません。
ServiceNowのWorkspaceとTeamsやSlackのデータ連携は、こうした課題を根本から解決する鍵となります。通知の一元化、ワークフロー自動化、AIによる優先度判断、これらは単なる効率化ではなく、現場の働き方を変える力を持っています。
今後、これらの連携を最大限に活用するためには、ツールの効果的な導入と運用戦略の策定が不可欠です。自社の業務プロセスを深く理解し、最適なソリューションを構築することで、次世代のデジタル変革を成功に導けるでしょう。
FAQ(ServiceNowのデータ連携について)
Q1:ServiceNowデータ連携はどの規模の企業に適していますか?
A1:中小から大企業まで幅広く対応可能です。特に複数ツールを利用している企業に効果的です。
Q2:セキュリティ面での懸念は?
A2:MFAや暗号化、定期監査を導入することで情報漏洩リスクを最小化できます。




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