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企業のDX推進が加速する中で、ServiceNowはITSM(ITサービス管理)やCSM(カスタマーサービス管理)、ITOM(IT運用管理)といった領域で、Platform of Platformsとして存在感を高めています。しかし、そのポテンシャルを最大限に引き出すには、ServiceNowの特性やモジュールの構成を深く洞察し、クライアントのビジネス課題を把握できる開発ベンダーの支援が重要です。
本コラムでは、ServiceNowの開発ベンダーに求められる要素を整理し、企業がどのような基準で開発ベンダーを選ぶべきか、そしてどのようにして効果的なプロジェクトの実現を支援するのかについて詳しく解説します。
ServiceNowの開発者に求められるスキルや能力
ServiceNow Developer が扱う Now Platform は、ITSM(インシデント/問題/変更管理)を中心に、CSM・HR・ITOM・GRC までを同一データモデルで統合し、部門サイロを解消します。
そのポテンシャルを最大限に発揮するために必要な開発者のスキル、能力を大きく分けて4つご紹介します。
1. ServiceNow プラットフォームの理解
ServiceNow Developer の現場スキル(JavaScript/HTML/CSS/RESTAPI/SAOP API/Angular/React)に加え、インシデント、問題管理、変更管理などの基本モジュールである、ServiceNow ITSM(ITサービス管理)の詳細知識やCSM(カスタマーサービス管理)、HR(人事)、ITOM(IT運用管理)などのモジュールに関する知識が豊富かは特に重要です。
また、Now Platformの仕組みや基本的なオペレーションやアプリケーション構築の流れを把握していることで、導入効果の最大化に寄与します。
2. ツールとワークフローの知識
ITSM/CSM/ITOM を一枚岩にし、ローコードでワークフローを自動化するのがServiceNowです。ServiceNow Developer としての現場スキルに加え、ワークフロー/フロー設計のオーケストレーション能力があるかも重要となります。
主に確認しておきたい知識は3つです。
・ServiceNow Studio:統合開発環境として、アプリケーション構築に使用
・更新セット:構築した機能を他のインスタンスへ移行するために必要
・ワークフローとフローの構築:複雑なビジネスプロセスを自動化するためのフロー設計とオーケストレーションスキル(ServiceNowと外部システムをつないで業務プロセス全体を自動化できる設計力・技術力)
3. 保持している認定資格の数
ServiceNowには認定資格が2種類あり、いずれかを所有しているか、その他の専門資格があるかは重要なポイントとなります。
主に確認しておきたいServiceNowの認定資格2つと専門資格は以下です。
・ServiceNow Certified System Administrator(CSA):基本的な管理スキルを示す資格
・ServiceNow Certified Application Developer(CAD):アプリケーション開発のスキルを示す資格
・その他の専門資格:ITSM、CSM、HR Service Deliveryなどの専門領域の認定資格も効率的な構築には必要
4. 問題解決力とヒアリング力
ServiceNowの導入で成果を出すためには、要件定義や仕様確認が必要なため、柔軟なコミュニケーション力が求められます。組織課題と現場課題を的確に把握し、解決するための問題の解決力も重要です。
これらのスキルや知識を持つことで、ServiceNow開発者としてプロジェクトの成功に貢献できます。
ServiceNow Developerに求められる能力
ServiceNowの開発会社には、開発者がいるだけでなく、クライアントのニーズに応えるための能力や体制が求められます。必要と考えられる能力や体制をご紹介します。
1. 認定資格と専門知識を持つ人材の配置
能力としてまず定量的に確認しやすいのが、認定資格や関連する専門資格を有している開発者が揃っていることです。
前述のCertified System Administrator(CSA)、Certified Application Developer(CAD)といったServiceNow認定資格の保持者、特定のモジュール(例:ITOMやGRC)や統合、セキュリティの専門知識を持つ人材を適切に配置することが可能かは1つの判断基準となります。
2. ServiceNowプラットフォームに関する実績とプロジェクト経験
もちろん、ServiceNowの複数のプロジェクト経験や実績があることが求められます。ITSM、ITOM、CSM、HRなど特定のモジュールや業界に強みがあることやServiceNowの最新リリースや機能に精通していることも重要です。
ここでは、必要と考えられる経験に関わる部分を大きく分け、コンサルティング力と開発プロセスの柔軟性、カスタマイズ力、サポート体制をご紹介します。
【コンサルティング力】
・要件定義と業務理解力:クライアントの業務要件を深く洞察し、適切な権利定義ができることが重要
・ベストプラクティスの提案:ServiceNowの標準機能を最大限に活用し、効率的なシステム構築を提案できるコンサルティング力
・セキュリティ標準の理解:ServiceNowのデータセキュリティやアクセス制御に関する深い知識がある
【柔軟で効率的な開発プロセス】
・アジャイル開発:クライアントの要望に応じて柔軟に対応できるアジャイル開発手法を取り入れている
・品質管理とテストプロセス:テストと品質保証のためのプロセスが完了していることが必要。テスト自動化や負荷テスト、ユーザビリティテストも含まれる
・ドキュメント管理:実装内容や設計に関する詳細なドキュメントを残し、顧客が後から確認できるようにする
・GDPRなどの法令遵守:特にグローバルに展開している企業向けには、GDPRやその他の地域法規に準拠した設計・開発が必要
【統合とカスタマイズの実績】
・他システムとの統合経験:REST APIやSOAP APIを利用した他システムとの連携実績が求められます。
・カスタマイズ能力:クライアントの業務に合わせてServiceNowを柔軟にカスタマイズし、ビジネスプロセスを最適化できる能力
【顧客サポートと運用支援体制】
・運用・保守サービス:開発後の運用サポート、システムの監視や保守を行う体制がある
・ユーザートレーニング:クライアントのスタッフがServiceNowを効率的に使えるようにトレーニングを実施する
・障害対応・インシデント管理:万が一の障害発生時に迅速に対応できるインシデント管理の体制が整っている
3. パートナーシップと信頼性
ServiceNowの認定資格を保持しているだけでなく、ServiceNow社の正規パートナーであることは、サービス提供性と対応力を示す重要な要素です。ServiceNowの開発会社として、技術力と柔軟性、運用サポートの充実を提供することで、お客様のビジネス目標達成を支援することにつながります。
まとめ
ServiceNowの導入で特に大切なのは、自社に合ったServiceNow Developerの選定です。課題を浮き彫りにし、どのように構成すれば解決に繋がるのかを考えて実現できるServiceNow Developerを見つけることで、現場課題の解決はもちろん、導入の定着化に寄与します。
TDCソフトには約100名の技術者がおり、Certified System Administrator(CSA)を96、Certified Application Developer(CAD)を37保有(いずれも2025年12月時点)しています。ServiceNowの開発、導入、運用に関する深い専門知識を持っていて、これまでに300以上のワークフローを開発した実績と企業の効率化や化を実現するノウハウが豊富にあります。
ServiceNowの導入を検討中の場合やお困りのことがございましたらぜひご相談ください。




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