公開日:2025年3月17日
近年、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進む中、業務プロセスの最適化と効率化は避けて通れない課題となっています。その解決策の一つとして、多くの企業が導入を進めているのがServiceNowです。ServiceNowは、さまざまな業務プロセスを自動化・可視化し、組織全体の生産性を向上させる強力なクラウドプラットフォームです。
しかし、その導入を検討する際に、多機能であるがゆえに「どの機能を利用すればいいのか」「ライセンス費用はどのくらいかかるのか」といった疑問が生じることが少なくありません。本コラムでは、ServiceNowの優位性を解説しながら、ライセンス体系の詳細と導入時のポイントについて分かりやすくご紹介します。
クラウド製品、特にSaaS(Software as a Service)やPaaS(Platform as a Service)のライセンスに関する問題点や課題について、以下のような点が挙げられます。
1. 導入の容易さと迅速な展開
・インフラ不要: SaaSやPaaSはクラウド上で提供されるため、ハードウェアやソフトウェアのインストールが不要。
・すぐに利用可能: インターネット接続があれば、即座にサービスを開始できる。
2. コスト効率の向上
・初期投資の削減: 従来のオンプレミスシステムに比べ、導入コストが低い。
・スケーラビリティ: 必要な分だけ契約できるため、企業の成長に合わせた拡張が可能。
3. 自動アップデートと保守の簡素化
・最新機能が即時反映: SaaS/PaaSのプロバイダーが定期的にアップデートを提供し、常に最新の状態で使用可能。
・IT管理負担の軽減: 社内でのメンテナンスが不要。
4. 柔軟なアクセスとリモートワーク対応
・どこでもアクセス可能: インターネットがあれば、どの端末からでも利用できる。
・リモートワークの促進: コロナ禍を経て、多くの企業がリモート対応を強化。
5. セキュリティ対策の充実
・高度なセキュリティ対策: ベンダー側で定期的なセキュリティパッチや対策が施される。
・バックアップ・災害対策: クラウド環境により、データ消失リスクが低減。
1. 契約・ライセンス管理の複雑さ
・契約の多様化: SaaS/PaaSのライセンス形態は従量課金、ユーザーごとの課金、企業向けパッケージなど多様であり、
企業ごとに適した契約形態を選ぶのが難しい。
・使用範囲の不明確さ: 利用規約が複雑で、どの範囲でソフトウェアを使用できるのかが明確でないケースが多い。
・契約更新・自動更新の問題: 多くのSaaSでは自動更新がデフォルト設定されており、企業が不要になったサービスを解約し忘れることがある。
2. コンプライアンスと法的リスク
・データ保護・プライバシー規制: 日本の「個人情報保護法」やEUの「GDPR」など、データの取り扱いに関する法律が
クラウドサービスごとに適用されるため、準拠が難しい。
・データの主権と管理: SaaS/PaaSのサーバーが海外にある場合、現地法に従う必要があり、データの保管場所やアクセス権の制御が課題となる。
・サードパーティの依存リスク: サービス停止や倒産した際に代替手段がないため、ビジネスに大きな影響を及ぼす可能性がある。
3. コスト管理の難しさ
・サブスクリプションモデルによる費用の肥大化: 従量課金やユーザー数に応じた料金設定により、想定以上のコストが発生しやすい。
・コスト最適化の難易度: 必要のない機能を含んだパッケージを契約してしまうことが多く、柔軟なコスト調整が難しい。
4. ベンダーロックイン(Vendor Lock-in)
・移行コストが高い: 一度特定のSaaSやPaaSを採用すると、他のサービスに移行するためのコストや時間が大きくなる。
・独自規格・非互換性: 特定のベンダーの技術に依存することで、他のソリューションとの互換性が低くなる。
5. システム統合とカスタマイズの制限
・オンプレミスとの統合の難しさ: 既存のオンプレミスシステムとSaaSを統合する際、APIの互換性やセキュリティ要件が課題となる。
・カスタマイズの制限: SaaSはパッケージ型のため、企業独自のニーズに合わせたカスタマイズが難しい場合がある。
6. セキュリティとデータ保護
・クラウド環境のセキュリティリスク: クラウドサービスのハッキングやデータ漏洩のリスクが常に存在し、対策が必要。
・内部統制の難しさ: SaaS/PaaSの利用において、企業のデータがどのように管理されているか可視化しづらい。
現代の企業活動において、デジタルワークフローの最適化は必要不可欠です。その中でも、ServiceNowは業務の効率化や自動化を支援するクラウドプラットフォームとして、多くの企業に導入されています。
ServiceNowの強みは、その多機能性にあります。ITサービス管理(ITSM)、ITオペレーション管理(ITOM)、カスタマーサービス管理(CSM)など、さまざまな分野に対応可能であり、各業界のニーズに柔軟に適応できます。また、近年のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の流れの中で、企業の課題解決や業務効率化の手段として大きな注目を集めています。
加えて、コンプライアンスやセキュリティの観点からも優れた性能を発揮し、ガバナンス強化のニーズに応えるツールとしても価値を発揮します。たとえば、データガバナンス機能を強化したソリューションや、AIを活用したワークフローの自動化など、最新の技術を取り入れた機能が次々とリリースされています。
ServiceNowのライセンス体系は、企業のニーズに応じた柔軟なプランが特徴です。メリットを重点的に説明すると、以下の点が挙げられます。
・ServiceNowは、多くのSaaSと異なり「ユーザー単位のサブスクリプションライセンス」を採用しており、
利用ユーザー数に基づいて料金が発生します。
・これにより、使用量に応じた変動コストが発生せず、予算管理がしやすくなります。
・ServiceNowは、ITSM(ITサービス管理)、CSM(カスタマーサービス管理)、HRSD(人事サービス管理)など、
異なるモジュールごとにライセンスを提供しています。
・企業の必要な機能だけを選んで利用できるため、コストを最適化しながら業務効率を向上できます
・企業の成長に応じて、ライセンスの追加が容易に行えます。
・例えば、最初はITSMの基本機能だけを導入し、後にHRSDやCSMを追加することも可能です。
・これにより、最初は小規模で導入し、ビジネスの成長に合わせて段階的に拡張できるメリットがあります。
・1ユーザーあたりの月額・年額が明確に決まっているため、ライセンスコストの予測がしやすい。
・追加費用が発生しにくく、特に大規模組織では予算計画が立てやすい。
・ServiceNowはクラウド型のプラットフォームであり、インフラ構築・管理の必要がないため、
ライセンス費用以外の運用コストを抑えられる。
・サーバー管理の負担がなく、アップデートも自動適用されるため、運用負荷が低い。
・一部のライセンス体系では、エンドユーザー(従業員や顧客)は無制限で利用可能なモデルもある。
・例えば、顧客向けポータルの利用は追加コストなしで提供される場合があるため、カスタマーサービス業務の拡張に適している。
ServiceNowのライセンス体系は、ユーザー単位でコストが明確で予測しやすい、必要な機能を選択できる、スケーラビリティが高いといったメリットがあります。特に、大企業や成長企業にとって、拡張性やコスト管理のしやすさが大きな魅力となっています。
ServiceNowの導入を検討する際に、課題となるのがライセンス体系の複雑さです。多機能であるがゆえに、「どの機能をどのように利用すればよいのか」「費用感がつかみにくい」といった点が、企業の導入検討を難しくする要因となっています。
ServiceNowのライセンスは、主に以下のような方式で提供されています。
・ユーザー単位のライセンスには、役割に応じてFulfiller(フルフィラー:実務担当者)、
Business Stakeholder(ビジネスステークホルダー:意思決定者)、Requester(リクエスター:リクエスト送信者)の種類があります。
そのうちRequesterは課金対象ではないため、利用ユーザーが多くとも、利用の仕方によってはライセンス費用を抑えられます。
これにより、全ユーザー課金タイプの他社製品と比較して、コストを削減しながら効率的に利用することが可能です。
・ユーザー単位のライセンスが適用される主なモジュール:ITSM、SPM、CSM、FSO、App Engine
管理対象のIT資産(サーバーやネットワーク機器)の数に応じた課金モデル。
・ノード単位のライセンスが適用される主なモジュール:ITOM、ITAM
管理対象のデバイス数に応じた課金モデル。
・デバイス単位のライセンスが適用される主なモジュール:Security Operations
特定の業務処理やデータ処理量に応じた課金モデル。
・トランザクション単位のライセンスが適用される主なモジュール:IntegrationHub
また、ServiceNowはモジュールごとのライセンス体系を採用しているため、必要なライセンスに絞ってスモールスタートし、その後適用範囲を広げてスケールアップすることが可能です。これにより、最初は限定的な導入から始め、業務に応じて段階的に拡張しながら全社のDXを推進する柔軟なアプローチが取れます。
ServiceNowの導入を成功させるためには、以下のポイントを意識することが重要です。
どの業務プロセスを改善したいのかを明確にし、優先順位を決めることが重要です。
利用する機能や規模に応じた適切なライセンスモデルを選定することで、コストを抑えながら最適な運用を実現できます。
初めから全社導入を目指すのではなく、スモールスタートで導入し、成功事例を積み重ねながら段階的に拡張していくことが望ましいです。
ServiceNowは導入して終わりではなく、継続的な運用・改善が必要です。運用チームを構築し、定期的な評価と最適化を行うことが重要です。
ServiceNowは、企業のデジタル化を強力に支援するプラットフォームですが、多機能ゆえにライセンス体系が複雑で、導入のハードルが高く感じられることがあります。しかし、正しい知識を持ち、計画的に導入を進めることで、企業のDX推進を大きく加速させることができます。
ServiceNowの導入にあたっては、認定パートナーである当社にご相談ください。当社は、ライセンス販売だけでなく、豊富な構築実績を持ち、導入前のコンサルティングから導入後の保守運用まで、一貫したサポートを提供しています。企業の業務課題に合わせた最適なプランを提案し、スムーズな導入と長期的な運用を支援する伴走パートナーとして、強力にサポートいたします。
本コラムを通じて、ServiceNowのライセンス体系について理解を深め、安心して導入検討を進める一助となれば幸いです。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。